愚かな生き物
九月の月羊
第1話
人間は地球上で最も賢い生き物だ、そうだろ?
でもな、俺は前々からずっと思ってんだよ人間は確かに俺たちより賢いかも知れねーが、人間は愚かだなと思うわけさ。なんでそう思うかって?
お前さんも、うすうす気付いてるだろ、
まあ、俺がそう思う理由とやらを教えてやるよ。
あれはいつだったかな?
あ、そうそうちょうど1ヶ月前だ、俺が間違って電車とやらに乗ってしまった時だ、出入り口の手すりのとこに立ってた女が、もじもじしててな。どうやら後ろにいた男に尻さわられてるみたいでな、はじめはつがいが電車でイチャついてんのかと思ったんだよ。リア充爆破しろ!って思ったな。使い方合ってるか?まぁ話を戻っけど別に羨ましいわけじゃないが、そいつらの方をチラチラ見てたんだ、羨ましいわけじゃないがな、女が涙目になりながら男の手を払い除けてたんだよ。まぁ簡単に言えば嫌そうにしてたんだよ。だからな俺は男の首筋を強めに突いてやった、そしたら男は、イタッって言ってびっくりしてたな。そん時の男の顔がもう笑えてな、お前らにも見せてやりたいぐらいだよ。そんで俺は次の駅で降りて、そしたら女も降りて俺に さんありがとうって言ってたなたまには人間の役に立つのも良いもんだな。
にしても周りにいた人間は何してたんだろうな?
周りのやつは気づいてみたいだったが?
どうだ?ちっとは人間の愚かさがわかってきたか?つがいでもねぇ女の尻触るなんてみっともねぇ愚かだって思うだろ?
ん?なんだ?痴漢なんてよくある事?痴漢?ってなんだ?なるほどつまり、つがいでもねぇ女の尻触る事を痴漢ってゆうんだな。にしてもあんな事がよくあることだなんて女は不遇な生物だな。
まぁ待てよ話は終わりじゃないぜまだまだ話したいことはあんだよ、え、仕事で疲れたからまた今度?おい、まじかよまぁしゃねぇじゃ、俺は行くとするか、ん?明日休みだからたくさん話聞ける?おぉ!まじか!話はまだまだ続くからな、覚悟して聞けよ明日こそ人間の愚かさに気づかせてやるよ。また明日な良い夢見ろよ。
やっと起きたか、何度も窓突いてんだからだから起きろよ。まぁんな事はいいとして、話の続きだ
あれは確か…ん?コーヒー注ぐから待って?コーヒーって何だ?まぁ何でもいいが早くしろよ。
おい、まじかよお前それ飲むのかよ、泥水じゃねえか。もう話してもいいか?よし!じゃいくぞ
あれは確か半年くらい前だったかな腹減って食いもん探して街中でふらふらしてたら、そこら中にゴミが落ちててな、見てて気分悪かったからゴミを拾ってゴミ箱に捨ててたんだよ、空き缶やら、タバコの吸殻やら、菓子のゴミやらが落ちてて、順調にゴミ箱に運んでたらいつの間にか人間が周りに群がっててなそいつら皆俺をスマホで撮ってんだよ。ん?俺くらいになればスマホぐらい知ってる
なんせ俺は日々自己のアップデートしてるからな、そう!まるでスマホのように!おい、今の笑うとこだろめっちゃ滑ってんじゃん。まぁ俺の渾身ののギャグが滑った事は置いといて、どうやら人間どもは写真や動画を撮ってるみたいでな、俺はゴミ拾いの写真なんか撮ってどうすんだって思ったが、群がってる男や女やガキ達が可愛い、とか賢い!とか さん可愛い〜とか言ってくるから嫌な気はしなかったんだよ。そんで見える範囲のゴミ全部拾い終わったと思ったら、タバコ吸ってた男がこれも捨ててきてって俺のほうに投げ捨ててきてな、さすがにムカついて男の頭の上に投げ返してやったぜ。そん時のにはさすがに腹が限界まで減ってたんで飯探しに行ったけどな。
どうだ!お前さんもわかってきたんじゃないか?人間の愚かさに。ん?だってせっかく俺がゴミ拾いしてんのに、わざわざ俺目掛けてタバコの吸殻なげてくんだぜ?まったく人間は愚かだよな。
にしても人間の目は俺とは違って特殊な構造してんだな、ん?いや、だってあんだけゴミが落ちてたら嫌でもゴミが視界に入るはずなのにみんな見えてないみたいに歩いてんだもん。その割に俺がゴミ拾ってんのはしっかり見えてんだもんな。不思議だよな。
飯の事思い出したら腹減ってきたから次の話で最後な。ん?ご飯あげるよって?いや、いい、自分の飯ぐらい自分で探す、んじゃ次の話すっぞ。
次の話は、ん〜いつだったっけあ、思い出した2年くらい前にあったことだ。ん?2年前のことよく覚えてるねって?俺を舐めて貰っちゃ困るぜ俺たちはまあまあ賢いんだ。んで2年前にな、ふらふら散歩しててな疲れたんでビルの屋上で休んでたんだよ、そしたらな隣のビルの屋上にガキがやってきてな、ビルの隅まで行って立ってたんだよ。俺はなあいつも疲れたんだなって思ってたんだよ。十分ぐらいしてそろそろ行くかって思たら、下の方でザワザワ人間の声が聞こえてな、なんだ?って思って下を覗いていたら、人が集まって皆スマホをこっちに向けながらこっち見てんだよ。俺はやっと人間にも俺のかっこよさがわかってきたかって、思ったんだけどな違ったみたいで隣のガキに皆注目してたみたいでな少しがっかりした。あのガキのどこがいいんだって思って隣のビルに移ってガキの近くに行ってみたんだよ。見たところパッとしないガキでな、本当にどこがいいんだ?って思ってたらガキが俺に君も孤立してるの?って話してきてな、俺は好きで一人でいるんだよ、って少しムカッとしてたらガキが私ね、学校でいじめられてるの、先生にいじめのこと相談したら気のせいだってお前の気にしすぎだって言われて、お母さんに相談しても面倒ごと持って来ないでって、仕事で忙しいのって、言われちゃった、見て、こんなにリスカしちゃったって、俺に手首見せてきたんだよ俺にはリスカ?ってのがよくわからなかったが切り傷がいっぱいあんのが見えたから、こいつ弱ってるところをいじめられたんだなって思ったんだよ。あ、おい勘違いすんなよ俺はいくら弱ってようといじめたりしない、弱いものいじめはされたら嫌だからな、さらたらやな事はしないのが俺のポリシーだからな。んで話戻すとガキは喉から針でも吐き出してんのかって思うぐらい苦しそうな顔をしながらガキは、それでね誰でもいいから話を聞いて欲しくてTwitterでリスカした時の写真と、死にたいってツイートしたら、きもい写真載せんな!とか、かまってアピ乙とか、私ね、もうどうすればいいのか分からなくて、辛くて、もう死にたくて、だからね、もう飛び降りて死のっかなって、って、泣きながら俺に話してくんだよ、よくわかんねーけど辛そうにしてるやつは放っておけねぇだろ?だから俺はしゃーなしで膝の上に乗って俺の体触らせてやったんだよ俺優しいだろ?そんで人間の女は花が好きって聞いてたから近くに花がめっちゃ置いてるとこがあったから、そっから適当に二本持ってガキに渡してやったんだ、そしたらガキは、私にくれるの?ガーベラとエンゼルランプ…ありがとうって泣きながら言ってたな、なんで泣きながらありがとうって言ったんだろうな、嬉しい時に涙がでるなんて変なやつだよな。でも初めよりマシな顔してたから良かった。結局ガキは死ぬのやめたんだとよ、警察の男にどっか連れて行かれたみたいだぜ。そんで下でこっち見てた一人の男が、チッ飛び降りないのかよつまんね、って言ってたからその男の頭に糞してやった、これで俺は二つの意味でスッキリしたってわけだ。
なんだ、お前もこの事知ってんのかん?ネットニュースで見た?よくわかんね、んで!どうだ愚かだろ!ん?どこがっておい、本気で言ってんのか、泣いてる女に花の一つも渡してやらない人間は愚かだろ。にしても人間はやっぱり不思議だよな。ん?いやだって、ビルの下でスマホ構えて見てたやつらは、まるで人が死ぬ瞬間を見たがってるみたいにみえてな、なぁ、人間ってのは同族が死ぬとこを好んでみる生き物なのか?そんな事ない?そうか、じゃ俺の勘違いだったんだな。
まぁ俺の話はこれで終わりだ。人間って本当に愚かで見て見ぬふりが得意だよな、つがいでもねぇ女の尻は触るは、ゴミ拾いしてんのにゴミ投げつけてくるは、泣いてる女に花の一つもやらねぇは、まったく人間ってのは愚かだな。人間に生まれなくて良かったよ。じゃ腹減ってきたから俺はもう行く、なんだかんだでお喋り楽しかったぜ、またな。
おしまい。
愚かな生き物 九月の月羊 @Kisinenryokunn
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