第2話 私という人間

幼い頃の私はとても元気で明るくて活発な子供であったそうです。保育園の頃には、周りの友達はみんなこぞって私と遊びたがる人気者でした。うろ覚えですが、幼いときは楽しい記憶ばかりなのです。しかし、小学生高学年のとき思春期の多感な時期にちょっとしたことで自分の明るさを捨ててしまいました。愚かにも今では笑い飛ばしてしまうようなしょうもないことでしたが、私は私自身を捨ててしまったのです。その原因というのも人から見られることに対する恐怖というのものでした。なぜか、ある日突然に怖くなってしまったのです。それからの日々はあまりはしゃがす周りの影に埋もれるように平均的に行きました。幸いにも、小学4年生のころからやっていたバスケットボールのチームメートにも救われ私は孤独は味わうことはありませんでした。しかし、この変化が今後の私の人生において最も大きな分岐点だと言えるでしょう。私という愚かで無知でどうしようもない人間へと育っていくきっかけとなったのです。ですが、そんな私にも良いことがありました。小学6年の冬のことです。当時私は進路に迷い悩んでいました。少し離れた中高一貫の私立高校か、地元の市立中学校か、どちらに行くのがよいのだろうと。そんなときのことでした。

「入学して入部届けもってこい!」

当時の市立中学校のバスケットボール部の顧問の先生に開口一番こう言われました。

この一言がまるで天からの蜘蛛の糸のように私のことを光のもとへと引き上げてくれました。彼の言葉に背を押された私は地元の中学校へと進学し、彼の指導するバスケットボール部に入部しました。

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阿呆 @yhf

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