涼宮ハルヒの痛快

 ハルヒが、古泉の家の中の実験室の小部屋の中のソファーに待たされている。いつものように、足を組んだりすることもなく、じっと膝がくっつくように手を膝に当て、ものすごい緊張感のオーラを漂わせている。差し出されたドリンクにも手が付けられない、ガタガタとただ手が震えている。今日は、キョンも長門もミクルちゃんもいない。古泉に、例のモノが完成したとだけ告げられ。

 ガチャッ。

 とは、鳴らない。バリアフリーなドアであった。古泉が姿を現す。

「古泉く~ん。」

 珍しい、甘くとろけたような声で、体の緊張も何もすべてほぐれてしまっている。あまあまだ。

 ハルヒが古泉の前に、感謝とばかりに抱きつこうとすると、寸出で古泉がハルヒを抑える。

「ハルヒさんで、間違いありませんね。」

「どうすれば、私じゃないと思うのよっ!」

「スミマセン。一応、確認事項なので。」

「わかっているわ。」

 そう、思ってもふてくされてしまうハルヒだったのだが、今日は回復が早いなんてぇもんじゃぁない。

 古泉が、

「あの、このVRはお渡ししますが、安全のため同席させてもらってもよろしいですか?」

「ええ、お願いするわっ!」

 いつものハルヒの様子に戻ってくる。

「じゃあ、古泉君、お願い。」

「わかりました。後悔しませんね。」

「あったりまえじゃないの~。」

「では、ご自分のタイミングでどうぞ。」

 と、古泉は、アルカノイドのようなつまみのついたリモコンを手渡す。

「ふっ、ふわわわわ~」

 ハルヒの緊張しきってきたからだだが、声が自然と漏れるほどの快感を得ている。

「古泉君、ちょっと、ちょっと~。」

 古泉は、リモートコントローラーのリミッターを解除する。

「まだいけるっの~~~?」

  しばらく間があって、ハルヒがガクっと、肩を落とし気を失ったようだ。

「ハルヒさん、ハルヒさん、団長!」

「はっ、マッハで地球周回して月に飛びこむなんてなかなかできない体験だったわ。ほんと、背中痛いけど、古泉君、なにかしたわけじゃないわよね。」

「ボクには、そんな機転は利きません。」

「いや、Gがハンパなかったわね。よくできたわね、こんなの。」

「うちの研究員に伝えておきます。あ、毛布もってきますね。」

「え?」

 その後、ハルヒは、気を失った。


いちおう、おしまい

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涼宮ハルヒの盗掘 稲兎谷ぴょん @usapyon

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