第17話 違法行為
俺は馬車の周りを見た。貴族の行進のように大量の護衛がついている。
「はぁ……なぁ……王都ってどこにあるんだ? カエリオン王国の王都」
「ここからだとかなり距離あるわよ? 一週間は掛かるわ。王宮は最初からユウキを連れてくるつもりだったようね。こんな馬車を用意してるなんて」
「それは良いんだけど、あまりにも早すぎるだろ。俺がこの世界に来た数日後には馬車を出していたことになるだろ」
「それはおかしくないと思う、どうせ神託でも降りてきたんでしょ」
「神託ねぇ、俺は神なんて信じてないけど。ホントにいるのかねぇ」
「地球は知らないけど、この世界には確実にいるわ実在してるわ、定期的に地上に降りてきてるって話よ。神託もそこそこの頻度で降りるしね」
「ユウキ様、そろそろお昼の時間です。私が馬車から降りてイノシシでも狩ってきます」
ソフィの言葉を聞きメルが俺の頭を急に叩いてきた。
「あんたね、こんな小さい子に何させようとしているのよ。あんたが行ってきなさいよ」
「いえ、メル様、これは私の仕事です。こういう雑用を……仕事を奪われてしまったら私がユウキ様にできるのは、体を自由にして貰うくらいしか無いです」
「そ、そうだったわね……あなた奴隷だったわね。でも……今は周りに騎士がいるから勝手にご飯くらい出ると思うけど」
「そうでした……」
くるくるとソフィのお腹の音がした。どうやらソフィの方がお腹が空いているらしい。直後馬車が止まった。そして客車の扉を騎士の一人が開けた。
「一回他の者を休ませるために止まります。一時間ほど自由にしていてください。食料が無いので自前で揃えていただけるとありがたいです」
残念ながら、ご飯は出てこないらしい。自分で取ってくるしか無いだろう。
「わかりました。俺らは勝手に昼食を取っておくので気にしないでくさい」
「ユウキ様、あそこの森まで歩いて動物でも狩りますか? 私が行って狩って来ますが」
「遠いな、まあ良いか……一時間あればなにか取れるだろ……ちょっと行ってくる」
「え……あのユウキ様」
俺はソフィを置いて森に走り1キロくらいあった森があっという間に近づいた。適当に木陰や木の上空を見ているとホロホロ鳥みたいな鳥空を飛んでいた。その鳥を魔銃で適当に撃ち抜いた。これを持ち帰るか。
ソフィとメルがいる馬車の前まで戻ってくるとソフィがプンプン怒っていた。
「ユウキ様! なんで勝手に先走って行くんですか! 私がいざという時、盾になれないじゃないですか!」
「いや、盾にならなくて良いんだよ。ほら鳥を狩って来たからこれでも調理してくれよ」
「ちょ、何してるの! その鳥グラハイ鳥じゃない! それ殺すのは違法よ。違法」
「え、マジ? どうしよう……まぁ殺しちゃったし食べて証拠隠滅だな」
「仕方ないわね……貸して、バレない間にバラして肉にすればわからないでしょ」
メルがグラハイ鳥の解体を初めた。俺は特にすることもなくメルを眺めていると騎士がこっちに来た。やばい……
「ど、どうしました? 騎士さん」
「ああ、なにかすごい速度で走っていって戻ってきたので気になって」
「そうですか……いや、森の方になにかいたので気になって走ってみただけです。」
「なるほどさすが勇者様です。あんな速度で走るとは……」
そう言い残して騎士さんは戻っていった。危ない、俺に注目しててメルをみてなくて良かった。
「解体終わったわ……調理しておくね」
しばらく待っているといい感じに焼けた肉をメルが持ってきた。
「ほらユウキ……ばれない内に証拠隠滅して」
そう言われて出された肉を俺は口に詰め込んだ。特に味付けもしていないのに塩っ気のある味がしている。美味しい。
「ありがとうメル美味しいよ」
「まぁ焼いただけよ」
「そろそろ行きますよ。他の者の準備ができました」
騎士が声を掛けてきたので馬車に乗った。なんで俺馬車に乗ってるんだ? 走ったほうが早いのに……
「どうしたんですか? ユウキ様」
「いや、なんでも無い。早く乗ろう」
「まぁ馬車の中が飽きるのは分かるけどね……一日乗ってたら飽きるよね。まぁあと少しで中継の街アンフに着くわ」
「半日乗ったけど、馬車ってあんまり好きじゃないな、遅いし」
街についたら半日くらい時間を貰えるだろう……その場で俺のスキルを使って移動道具でも制作しよう。魔動車くらいなら多分作れる。
勇者計画の失敗作は自身の世界最強スキルで異世界観光をする 碧葉ゆう @yurie79
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