異世界に転生してしまった小説家の珍道中

一部に熱狂的なファンを持つミステリ小説家の主人公が、異世界に転生して……という内容。タイトルに反して小説を書いてどうのこうの、という要素は薄いのですが、異世界の文化や描写に面白さがあります。
 上位存在によって作られた「システム」と呼ばれるネットワークの恩恵を受け、支配種族によって統治される文明諸国。それに対して、支配種族に縛られることを嫌い、後進的な生活を営む人間領域の諸国に二分された世界。支配種族にも人類に対するスタンスの違いで様々な対立があり、主人公はそういった諸国を支配種族の一人、龍のゲンマに連れられてあちらこちらと練り歩きます。都市部の未来的な描写だったり、かと思えば田舎の村でもシステムのおかげでAm○zonもかくやという便利な生活ができたり、工夫を凝らした描写が楽しめます。バトルや冒険はサクサク進んでいくのであまり緊迫感はないですが、異世界描写が気に入ればお気に入りの作品になると思います。