第14話「横顔」

『こだわり』と書いて

くしゃくしゃに丸めた紙ぎれを

胸からとりだして

あなたは広げてじっと見つめる


そうしてまた

くしゃくしゃにして

黒い海へポォンとほおった


心もとなさそうに水面を揺れて

月あかりの下までとどいたら

『こだわり』は

ゆっくりと波にあそばれ

ぼんやりと白になるだろう


あともう少し 時間ときが経てば

なんでもない

そこは ただの海


ポケットには何もない

私は

あなたの目を美しいと思った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

【詩 粒yori】 小箱エイト @sakusaku-go

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る