第4話 昔話

「あの時は、オレンジもカカオも、まだオスのフレンズがいなかったときじゃ。パークには毎日のようにヒトが訪れ、フレンズたちと戯れていた…」


「え?昔のパークってヒトが来てたの?」


「そうじゃ。じゃが我らのところには誰も近づかなかった」


「なんで?」


「我ら四神いる辺りは力によって近づく者を試しているからな」


「ちなみにどんな形で?」


「まあお主の妻のビャッコで例えるなら、辺りに暴風が吹き荒れていたりしてたな」


「なるほど…でも風は僕にとっては味方だからね!問題ない!」


「そうなのか?」


「うん!だって昔はビャッコの風の力を借りてガッタガタの火山の道だってスケボーで一気に降りたことあるよ!」


「そうか…危険じゃないか?とりあえず話を戻そう。5人のフレンズを引き連れ、1人のある者が現れた」


「それが園長ってヒト?」


「そうじゃ。園長は…フレンズたちの指揮を手慣れたようにこなし、我らの妨害をものともせんかった。我らも試練として、必死に戦った…じゃが、園長たちの方がチームワークで勝ったんじゃ」


「へぇ…」


「そこからはパークの秩序を乱すセルリアンのため、園長とともに戦ってたんじゃ」


「なんか壮大…」


「仲間はたくさんいた。だがその主な仲間がサーバルとカラカル、トキ、トムソンガゼル、シロサイ、ギンギツネ。そして安定のように追いかけていたのがアライグマとフェネックということだ」


「ん?安定のように?」


「あぁ、お主は知らないのか。お主の父親、オレンジがパークに来る前、かばんが活躍していたんだぞ?」


「へぇ!そうなんだ…」


以外だなぁ…


「あの事件ほどではないが、巨大黒セルリアンが出てきたんじゃ」


「黒セルリアン?僕たち普通に大太刀で切ったりしてたけど?」


「規模が違うんじゃ。…でも思ってみればあの火山事件とあの巨大黒セルリアン事件、数と大きさを考えれば変わらないものじゃの…」


「え、何々?どゆこと?」


「えっと…かばんが解決した巨大黒セルリアン事件が、倒すのが大変だったらしいんじゃ。みんなが言うに、巨大化しすぎて弱点の石が隠れたそうじゃ」


「え!?じゃあどうやって!?」


「海に誘導してやったらしい」


「なるほど…そういえばさ!」


「ん?」


「ちょっとハクロウ呼んでくる!」


「ど、どうしたんじゃ…?」


ハクロウは我が子の中で唯一ができる…!それで再現してもらおう!



「え?何々?どうしたの?」


「カエデ、急に呼び出して何かあったのかしら?」


なぜかセイちゃんもついてきた。まあそうだよね。


「ハクロウはさ、セルリアンっぽいやつになれるよね?」


「うん!なれるよ!」


「あぁ、あれか。…つまり、ハクロウを使ってその大きさを再現してほしいと、そういうことじゃな?」


「え?」


「ハクロウ、例のアレになって?」


「アレね!わかったー!」


ハクロウが光に包まれると光からは手や足、尻尾が出てきて、最後に光が弾け飛ぶと白くて大きいオオカミが出てくる!ほんと、羨ましいよ!


「グォォォォォォォ!」


でも吠え方はお父さんと違う。なんで?ビャッコの虎成分があるから?


「さて、ハクロウ」


「ガウッ」


…可愛い。


「サイズはもっと大きくすることは可能じゃな?」


「アァウ!」


頷くとどんどん大きくなってく!すごいね!


「ストップじゃ!」


「ガウ」


「…ハクロウ!」


「ウゥ…?」


「後で私と一緒に一緒に変身するわよ!」


「アァウ…?」


「…とりあえず、これが巨大黒セルリアンの大きさくらいじゃ」


「大きいね…」


「これをみんなでかばんを助けながらも海に誘導して倒したんじゃ」


「すごいなぁ…」


「あ、もう大丈夫じゃ」


またハクロウが光に包まれて、今度はちゃんとフレンズに戻る。


「…ふぅ!この姿でいつかはパークを走り回ってみたいな!その時は俺とセイリュウ、2人で!」


「あら?嬉しいわね?じゃあ用が済んだっぽいし私たちはいなくなるわね?」


「あぁ。あと一応言っておくが、カエデとその子供たちはこれから、隙間時間に地球の実態について勉強してもらう」


「「地球の実態?」」


ハモっちゃったよ。


「お主らはもう神になったじゃろ?だから、自分自身がなった神として観覧してくる力を持ったフレンズに聞いて、勉強するといい」


「じゃあ俺は海の神だからセイリュウに教えてもらうー!」


「ふふっ、まあそうなるわね?優しく教える気はないから覚悟してなさい♪」


「ひぇっ、そりゃ怖い!」


「そんなに怖がらなくてもいいわよ?その日の頑張りの度合いによってはご褒美だって上げちゃうかもしれないわね!」


「なら頑張るー!」


「僕は…」


自然の神…あっ


「まさか四神みんなから?」


「…そうなるな」


「…頑張るよ。ていうかあの2人は?」


「あの2人?」


「フェニックスさんとシミラ君が早速フレンズを出してたんだよね」


「あぁ、それについては我は聞いてある。普通のフレンズなら出すのは簡単だが、絶滅種のフレンズとなると出すのは難しいらしくてな?」


「あ、なるほど?」


「今頃、待機組が仮のフレンズ住居を作っているところだと思うぞ?」


「なるほどね!じゃあ僕はこれからみんなが生きる場所を作らないとね!」


「頼むぞ?」


「うん!さてと…スッちゃん?昔話の続きを…」


ていうか気づいたらハクロウとセイちゃんがいなくなってる。早いなぁ。


「そうじゃな?まあさっきのハクロウくらいの大きさじゃが、かばんのフレンズ化の解除も一体のラッキービーストの犠牲を払ってなんとかセルリアンを討伐したんじゃ」


「あ、そういえば言ってたな…かばんさんが昔に腕につけてるのがあのラッキーのやつだって」


「ヒトが絶滅した中、かばんが出てきたことがフレンズの道標となったんじゃな?…今度は、我らの出番じゃ」


「そうだね?」


「…さて、そろそろ巨大黒セルリアンの事件から話を戻そう。さっき言った仲間たちでパークを回っていた。セーバルを追ってな」


「え?セーちゃんを?」


「セーバル、実は今とは違う姿だったんじゃぞ?」


「え?」


「その…もっとはっきりしていなかったと言えばよいか?」


「…わからないけどまあいいや」


「セーバルは最初、何かに引き寄せられていたそうじゃ。何かをしているときに、ふと思い出したようにどこかにいくんじゃ。全く、怖い物じゃ」


「なんで?」


「それを今から言う。旅を続け、仲間を増やして、セーバルを追い続けてたどり着いたところがパークセントラルじゃ」


「パークセントラル?」


知らない単語ばっか出てくるんだけど。


「まあパークの中心地、前ので言ったら遊園地じゃな。そこにちょっとしたお城があったんじゃよ」


「お城?あのライオンさんとかプラムさんが住んでいた?」


「いや、そういう城じゃないんだが…まあ、そのパークセントラルにはセルリアンが大量発生していたわけじゃが、それをなんとか倒して城に向かった」


「そうすると?」


「…お主の父親、オレンジからその存在を聞いたと思うが、セルリアンの女王がいたんじゃ」


「あ、聞いたことある!」


「なら話は速い!そこで倒そうと皆、努力をした。ざっくり言うならば、けもハーモニーという出来事が起き、セーバルが今の姿になって、女王を倒した、ということになる」


「なるほど!…そこからは?」


「そこからは…が起きた」


「あの事件?」


あの事件とか言われても知らないんですけど


「凶暴化したセルリアンが大量発生し、人でも対処できないため、パークから人がいなくなった、ということじゃな」


「え!?」


「あのパークではかなり落ち着いた方じゃ。じゃあどうやってそれを止めたかというと、そこで我らが立ち上がったというわけじゃ」


「そこでフィルターを張ったと…」


「そう。でもそこには生贄がどうしても1人、必要だった」


「その生贄は?」


「セーバルじゃ」


「あぁ、なるほど?」


「そしてセーバルの人柱、我らの石板化によってパークは安泰、平和になったんじゃ」


「はぁ…」


「そこからはあのパークとして、帽子にサンドスターが当たったことによってかばんが生まれ、巨大黒セルリアンを倒した」


「そこからは?」


「そして巨大黒セルリアンの討伐が終わった後、かばんはフレンズたちが改造したバスを使って海に出た」


「え、そんなことあったんだ…」


「そして、しばらくしたときにかばんが帰ってきたわけじゃが、そのかばんたちがいない時に現れたのが、あのオレンジ達ということじゃ」


「あー…そして今に繋がると」


「そうなるな」


「なるほどねぇ…ありがとね!」


「…そうそう、セイリュウとハクロウからさっき要望があるからカエデに会ったら伝えておいてほしいと言われたことがあってな」


え、だったらさっき言ってくれればよかったのに。


「え?」


「海の近くに湿地地帯を作ってほしい、とのことじゃ。海の神になったハクロウ、水の神のセイリュウが暮らしやすいから、だと思うぞ?」


「なるほど!善処しようか!」


「頼むぞ?お主らの子供の幸せのために…な」


スザクがどこかにいく。どこにいくんだろうね?


「さてと…こっちも頑張りますかね!…お昼食べてからだけど!」


今日のお昼はビャッちゃんが作ってくれたお弁当!お弁当なんか作ってくれるのは珍しいし、そもそもお弁当なんか作る機会はあまりないからね!ビャッちゃんは料理があまり得意じゃなくて、中身はとにかくヤケクソに詰めた感じがすごいけど、手をかざしただけで熱を感じる。


「…ふふっ!ビャッコの性格が出てるお弁当だね!…いただきます!」


タレがついたハンバーグとかもぎゅうぎゅう詰めだからタレも他の食材にかかってる。…ほんと、性格出てるよね。この大胆さ。でもそんなところが好き。


「…美味しいなぁ…グスッ…ビャッコが作ってくれるご飯…美味しいよぉ…」


思わず涙がでる…美味しくて…心がこもってて…ビャッちゃんがどんな気持ちで作ったか…帰ってどれだけ美味しかったか、伝えるのが楽しみ…さ、食べて元気になったらまた頑張ろう…

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