第3話 大地の自然

「さて、ゲンちゃん、ビャッコ!お願いね!」


僕たちが魔術で擬似的に空を作り出したから青空!…この景色、懐かしいなぁ!


「ここを隆起させればいいんだな?」


「そうだよ!」


「ふっ…簡単だな」


ゲンちゃんが指を上に上げると海から陸が出てきた!すごい…!


「これでいいか?」


「うん!ありがとね!」


「では、わしは自分の作業に戻る。何かあれば黒いので伝えてくれ」


みんな、個人作業を始める前にトランシーバーっていう通信機械をもらったんだけどみんなは黒いのって言ってる。なんで?


「カエデ…海風というものは、いいな!」


「そうだね!…はぁー!日光も!風も気持ちいいなぁ…!」


「数年ぶり、だな!」


「これから、毎日日光を浴びて、元気な毎日を暮らせるんだ…!楽しみで仕方がないよ!」


「本当だな!」


「さて…1ヶ月の修行の成果!とくとご覧あれ!」


僕が指を鳴らすとそこら中に自然が溢れる!


「おぉ…これがカエデの想像していた景色か…!」


「ふふっ、ビャッコ?」


「ん?」


初めてみる景色なんだ。一緒に見ようか!と思いながら、お腹に軽く手を当てて、引き寄せる。


「…きれいだね?」


「…そうだな」


「…これからさ、フレンズにもオスメス出てきて…繁栄すると思う?」


「そうだな…その命を繋いでいくのはまずは私たちの仕事だな…」


「メスのフレンズなら生命の神のフェニックスさんとサンドスターの神になったシミラが協力すればいくらでも出せるけど…オスのフレンズは前までは前代未聞の出来事だったらしいからね…数少ないオスのフレンズはまず、僕たちから命を繋がないと」


「限りがあるオスは…大切にしていかないとな。それに…アイツらが望めば…」


「ん?」


「あ、いや、なんでもない」


ビャッちゃんがそんなこと言うなんて珍しい…


『皆、聞こえるか』


「はーい!」


『気候の分離ができた。各自自分の作業すべき気候に行き、果たすことを果たしてくれ。あと…スザク。火山を作る時には言ってくれ。そのまま今住んでいるところをくっつける。その時にはシミラも来てくれると助かる』


『わかった』


「気候の分離…じゃあ僕は、主に暖かいところを主に頑張ろうかな?」


…言い忘れてたけど、これからの方針についてみんなで話し合った!内容は、最初に地球の生成。つまり、形作りだね!これは終わってる!その後に住めるように開拓をする。今これをやってるからね?そして、パークとして、以前のパークにあった建物は当然、ほかの建物も建てる。そして…最後の仕上げに、フレンズの再生と人間以外の生物の生成を行う。方法は、フェニックスさんが動物を創造して、シミラ君がサンドスターを与えて、フレンズ化させるってこと!そして、皆が過ごせるようになったら後はパークを見守りながら永遠に幸せに過ごすだけ!


「…じゃあ私は別のところで頑張るからな?」


「うん!また後でー!」


ビャッちゃんはその気候にあった風を吹かせなければならないからね!


「…ふぅ、さっさと終わらせますかな…!」


とはいっても世界は広い。海の中にも自然を…と考えるとかなり時間はかかる。それに、気候に合わせた植物も生やさなければならない。


「とはいっても…ぼちぼち頑張りますか…」



「…おっ、フェニックスさーん!シミラくーん!」


2人がいた。


「おっ、どうした?」


「何してるんですか?」


「…あぁ、ここからじゃ俺たちが邪魔か」


「はい!この地に初めて出てきたフレンズ、サーベルタイガーだよ!」


…え、出すのは最後のはずじゃ…


「カエデ、出すのは最後って思ってたな?だが、みんなにも手伝ってもらったほうが早いと思ってな」


「いやでも普通のフレンズさんに神の力を授けるのは…」


「は?普通のフレンズに神の力を授けるなんて一言も言ってないぞ?俺はただみんなにもできる仕事の範囲で手伝ってもらいたくてな」


「えっと…何がなんだか、よくわからないけどはじめまして、サーベルタイガーよ」


「はじめまして!僕はカエデだよ!この荒れ果てた地に自然を与えていく存在として、頑張っていくからね!よろしく!」


「…で、手伝ってほしいとは言ってたけどなにを手伝えば…」


「そうだね…とりあえず、今のところはないかな?僕たちの家に案内するからさ、そこで少しは過ごして?」


「わかった」


「そうそう、この世界は自由だから、世界ができたら旅するのも自由、これからもっと増えるフレンズと仲良く過ごすのも自由、愛するオスと幸せに子供を作って生きるのも自由だからな?」


「自由ね…」


「さ、僕は自然をつくりにいくからね?あっちの方は大体終わったから見てもいいよ?」


「おっけー!」


「…カエデ…だったかな?」


「ん?」


「私は…少し記憶が残ってるけど、絶滅種の動物…らしいね?」


そういえば目が普通のフレンズさんよりおかしいフレンズさんは絶滅しているらしい。


「あー…前にお父さんに聞いたね」


「じゃあ私がいなくなっちゃったらこの世界にサーベルタイガーはいないってこと?」


「そうだね?」


「…子供、残さないと…」


…なんかサーベルタイガーさん、使命感でちゃったよ。


「あ、無理しなくてもいいと思うけど…自分が作りたいなら、まずはオスに好印象を与えないとね?」


「そうね?…でもカエデ、あなたが背中に背負っているその重そうなのって何?」


…大太刀に興味を示してきたか…これ、お父さんから譲り受けた大太刀、露草なんだよね…


「…これは大太刀っていってね…まあ簡単に言えばかなり大きい剣だよ?」


「剣…これと同じね。でもなんで背負って?」


「…これは今はもう死んじゃってるけど…お父さんが持っていたものでね…形見として、ずっと持ってるの」


「形見…」


「そう。お母さんの形見は、家に描いてくれたまんがとお母さんが使い続けてきたペンケースと万年筆がある。僕が一番好きなお話を誕生日の時にもらったんだ…」


「…そういうの、大切だと思う。あなたのお父さんとお母さんは知らないけど…なんだか懐かしい感じがする…」


「え?」


なんで…?


「いや、なんでもない。そうそう、料理というものを作れる」


「ほんと!?ここにいる大体のみんなは作れるよ!」


「ふふっ、料理会とかやってみるのも、楽しそうね…」


初めて会うサーベルタイガーさんと話すのは実際、楽しかった。そして、神以外の普通のフレンズさんに会うのが、本当に嬉しかった。でも…お母さんに一度聞いたことがある。同じフレンズが生まれたとしても、あの時のお母さんと昔のお母さんは全く違うって。



「ふぅ、ここも、こんな感じでいいかな?」


現在作っているのはしんりんちほー。木をポンポン出せばいいから楽だね!


「あ、ここも花を…」


割とそういうところはしっかり見ないとね!


…実際、しんりんちほーといったらカカオさんとか博士、アップルさんと助手、そしてあの三人を思い出すね…寂しいよ…


「…いや、寂しくなんていられない…思いを…胸に抱きしめるんだ…」


お父さんが託してくれた大太刀を前に、お母さんが編んでくれたお守りを握る。これが、なぜか落ち着く。


「…はぁ、どこを見ても、地面は茶色、か…」


「…カエデ、どうじゃ?」


「あ、スッちゃん…」


「…影から見ていたんじゃが…何をしていた?」


「お父さんとお母さんの言葉を思い出してた…」


「ほう?」


「お父さんは…『努力を続ければ必ずいいことがある』お母さんは…『幸せを追い求めるならまずは行動から』」


「…なかなかいいこと言うではないか…」


「僕はこの言葉を信じて…自然を作ってる」


「まあ…いいことが起きることはほぼ確実だからな!でも覚悟せい!これからが大変じゃからな!」


「そうだね!…あの2人にも指輪、作ってあげなきゃな…」


「結婚祝いってやつかの?」


「そ!…セイちゃんもハクロウもつがいになって夫婦になって、子供を産むのかぁ…早いものだね…」


「本当じゃな…ビャッコがカエデとの子供を産んで大喜びした時からもう15年…我とゲンブは子を産めるのか?」


「いつかきっと、来るさ…君が好きになれるオスが産まれて…君のことが好きになるオスが出てきて…そのオスとつがいになって…いつの日か、絶対幸せな家庭を作れるはず…」


…スッちゃんを君って呼ぶの久しぶりだな…


「…そうじゃな。静かに待つとするかの…?」


「…でも、まずはみんなが幸せに生きられるパークを作らないとね!」


「そうじゃな?…カエデ」


「何?」


「パークかできたらの話じゃが、また別々で暮らそうって思ってるんじゃが…」


え?共同で暮らしてきたんじゃないの?


「あれ?今まで共同で…」


「それはフィルターとしていたからじゃな。我らがフィルターとして、石版になる前は別々で暮らしてたんじゃぞ?我は火山地帯、ゲンブは雪原地帯、ビャッコは平原地帯、セイリュウは湿原地帯っていったところじゃの。あの時は園長率いる五人組に負けて力を貸してたのぉ…」


え?地帯?園長?五人組?…よくわからないんだけど…


「え?地帯?ナニソレ」


「地帯というのはちほーと同じものじゃ」


「な、なるほど?じゃあ、園長と五人組って?」


「…話すと長くなるが、聞きたいかの?」


「…うん!」


こうして、スッちゃんによる昔話が始まった…

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