第39話水龍指南

 朝ごはんから帰る途中ウェイさんに会った。

_様子が。

 私はそのままお風呂に連れて行かれ、脱がされバックハグからの浴槽にバックドロップ。


ドボンッ


_!?

「何を!?」

 這い上がった私はウェイさんに文句を言おうとするが、いない。


ザバッ


 後ろか!

 がそれはフェイクで私は見事に足を取られた。


「ッ」


 誰もいない浴場での格闘戦。

 助けはない。

 私はまだ武器に頼りすぎているらしい。

 格闘戦を磨けということか!


 魚雷のようなスピードで水中をくるウェイさん。

_ならば。

 ソーマを読み解くしかない。

 練習は本番ほど緊迫した状況でなければならない。


 不思議と水の流れを裂かずに進むウェイさんの動きはすぐ掴めた。


くにゅ


「あ」


 ピンポイントで胸を掴むなんて私ったら!


「よくできました」


 動きを捉えたことを褒められてるんだよねコレ!?


「そんなに強く掴まれると痛いです」

 あ、すみません。


「おかげ様で目が覚めました」

_覚めてなかったの!?


「私、半眠状態の方が調子が良くって」


 頬に手を添えて照れ笑い。

_恥じるべきはそこじゃないと思います。

 今すぐ服を着て下さい。


「さぁいくよ!」

 マイクを片手に会場を煽るラとティ。


 それに負けじと何者かがタブレットのリストから曲をタップ、送信すると割り込み送信がかかる。


 小さな人型の精霊が言語によって、データを書き換えていく。


「クリュー!」


 今時珍しいそれは相手の名前が入ったラブソングだった。

 勿論クリューはそこを差し替えて歌う。


「愛してるぅ」


 陶酔しきった表情でクリューはカナの歌に塗り替えていった。


 会場内のいきすぎた熱はその度にリセットされていい温度を保っていた。

 ただクロエだけが窓辺にいることは誰にも気づかれないままで。


 終いにはウェイを除く輝石メンバーが酒に負けて、最後にルゥだけが残った。

 暇を持て余したルゥはクロエに声をかけた。


「今頃カナちゃんならウェイ姉に訓練受けてるはずだよ」


 んだよ。知ってたのかよ。

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カナかなクロニクル リペア アキヅキ @aki-2ki

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