第38話異種族ビュッフェ
当たり前だが、異種族交流の場である会場は食べ物以外の匂いがふんわりとしていた。
流石に人型の種族も多いので、臭いには気をつけている人も多く、一人一人が自分用のフレグランスを持参していた。
忘れた人は入口でくれるらしい。
_皆ちゃんとしてるんだな。
思ったより深い溝はないようだった。
「昔は色々あったんだけどね」
ギョッ
普通に綺麗な声で振り向いてみたら半魚人!?
ぴちぴちしてる。
「ありがと」
_あ、いやそういう意味じゃなくて。
それでも生臭いのはあまり感じなかった。
昔には酷い抗争もあったそうだが、今の世代はそれを知らないという。
ビュッフェスタイルの会場を見渡すと見知った顔はすぐ見つかった。
ウェイさん以外の輝石メンバー。
ひとまずそちらに合流すると、
「カナちゃん人見知りなの?」
不思議そうに食べ溢しいっぱいの顔で尋ねてきたルゥ。
「うぅん別の理由」
曖昧に首を振って否定してみると、
「新しいでしょ」
音もなく現れたローが言い当ててくれた。
「ラさんは?」
姉さんはあっち。
ローの指した方向を見ると遠くの方にラさんの姿があった。
隣には黒いタキシードに白い翼を背中から生やした男性と何やら談笑しているようだ。
「仲良さそうでしょ?婚約者なんだ」
彼は自分が亜人種であることを理由にラの誘いを断ろうと彼女を呼び出したところ、
「亜人種だがそれがどうした!」と説き伏せたのはラさんの方だったという。
「情熱的だね」
熱い恋は羨ましいとは思う。
だが、失敗した後の傷はお互いに計り知れない。
だから、
「私にはできないなぁ」
思わず口から漏れていた。
「そんなことないよ!カナちゃんには私がいるじゃない!」
ルゥを押し退けてティがそんなことを言う。
ムスッとした顔でルゥがそれに対抗するように、
「どうして!?私じゃダメなの?」
とか宣う。
「二人ともありがと」
とウィンクをしてみせると、
キュゥゥゥゥゥンッ
倒れた二人をローが引きずって退場していった。
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