第37話置いて行かれた?

 翌朝、と言っても三時間ほどしか経っていなかったが、意外に体は軽く動いてすぐに起き上がることができた。


ゴチ


 おまけに目も覚めた。

 何にぶつかったのか確認するとクリ、、、違った。

 安らかな寝息を立てたウェイさん。


 ウェイさんのはだけた浴衣の隙間からチラッと見えた胸。

 ドキッとさせられた私は思わず目を逸らした。


ガチャッ


 その瞬間入口の扉が開いて、

「おはよ」

 欠伸まじりの顔はまだ何一つ処理されないままだった。

_ちっちゃい時見たアニメみたい。

 流行りに疎い私でも名前を知ってるアニメだった。

 それはそうと皆はどこ行ったんだろう?

「具合はどうだ?朝飯行けそうか?」

 歯を磨きながら髪を直し、あっという間に支度を整えてしまうクロエ。

 自分のを用意した後、小さな巾着袋に詰めて私の分を投げてきたクロエ。

「細かいのは自分で何とかしろよ?」

 きっと下着とかそういうヤツだろう。

「ウェイは寝かせておいてやろう」

 チェックアウトはもう少し先だからな?

 とクロエは先に出て行った。

 閉まる扉を見送って私も慌てて支度を始める。

 まずは浴衣を一から着なおして顔を洗い始める。

 それで髪留めを探して、、

 ないことを思い出した。

_習慣って恐ろしいな。

 ファーリアに来てからそんなものは使ったことはなかったのに。

_これから増えるかな?

 きっとそうだろう。

 私はそう思い直して髪を止めない代わりに結ってみることにした。

 少し長くなった髪をアップにして、髪留めがないので代わりに編んでみた。

_なしでやるのは久しぶりだな。

「うん。決まってる」

 鏡にとびきりの笑顔を置いて私は部屋を出た。


ガチャン


 オートロックが作動した音を背中に聴いて焦った私は、その瞬間ドアノブの横が赤く光るのを視た。

_あれ?

 そういやカードは?

 差し込むところもない。

 クロエも持ってなかった。

 恐る恐るドアノブを握る。

 すると、

 緑に点灯するランプ。


ガチャン


 開いた。

 閉めた。

魔素マナに反応するのか」

 ホッとした。

 ここではこれが当たり前なんだ。

「教えといてよぉ」

 一回扉の前で項垂れてから、私は朝ごはん会場へ向かった。


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