死を招く避難要請
@HasumiChouji
死を招く避難要請
「台風による被害が予想されますので、この地域の皆様は避難所へ……」
病気の親の面倒を見る為に、前の職場を辞めてUターン就職をした俺は、何十年かぶりに、かつて通っていた小学校の体育館に入る事になった。
……嫌な予感がした。
小学校の建物が、数十年前の記憶そのままだったのだ。
そう言えば、建て替えたと云う話は聞いた事が無い。
みしっ……。
体育館の床の感触が何かおかしかった。
台風は去った。
しかし……。
「ここ何十年も補修の予算が付かなかったら、そりゃ、こうなるわな……」
私は、台風で倒壊した小学校の体育館を見ながら、そう言った。
「まぁ、予算を通さなかったのはウチの会派なんですけどね」
横に居る町議会議長がそう言った。
「で、町長、これから、どうします? ここまで住民が減ったら、次の選挙は、これまで通りはいきませんよ。色々と選挙戦略を変え……えっ? あれは何だ?」
続いて、私の
瓦礫の中から、次々とゾンビが立ち上がっていた。
「た……たしか……この区域には……最近、都会から帰って来たヤツが……居まして……。多分、そいつが……」
「何で始末してなかったんだ? 例の『病気』を持ち込みかねないヤツは、こっそり始末するのが……」
その時、町議会議長が、すまなそうに手を上げた……。
「あの……私の後援会の会長の息子だったんで……」
いわゆる「三密」状態になった避難所の中で、一気に増えたゾンビ達のせいで、我が町が壊滅するまで、たったの1日半しかかからなかった。
編集部より:
当編集部の原稿管理システムに「同じ号に、たまたま同じ仮タイトルの小説が有った場合は同じ小説の別の
御了承下さい。
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