私は読み始めた当初、戸惑いました。僕の考える転生ものの構図と異なり、【不遇な人生、もしくは突然の不幸な死を迎えた前世から、何もかもが思いのままといった来世】といったストーリー構成とは違うように思えたからです。理不尽な横暴を重ねる主人公に苛立ちさせ感じたほどです。しかし、後半は勢いを緩めた代わりに、荘厳なテーマへと移ってゆき、いよいよ真の意味での神話を垣間見ました。また、前半で感じた苛立ちも、その独特なる世界観が放つ力そのものでもあり、非常に考えさせられました。