第4話 人生スゴロクDX

 「…めよ..」

 ん..なに?

なんか声が、聞こえる。


「目覚めよ冒険者よ!

我がスゴロクワールドへようこそ!」

「あぁ..。」

またこのパターンか、目覚めたらタイプ。何度もやったら飽きられるよな。


「誰だお前、どこだここ!?」

あれ、なんか知らない人いる。

熱めのギラギラした感じの人、嫌だな

「フハハハハ、落ち着け。

お前たちは私のゲームの駒となって貰う、このスゴロクワールドどな!」


「スゴロクワールドですって⁉︎」

うわもう一人いた、派手目色気女子。

髪の色何色なのそれ、ムラサキ?


「いいでしょう、相手をしますよ。」

冷静メガネ男。

まぁまぁバランスとれてるな、だったらオレもやるしかないか。やれやれ。


「いいからテキトーにやろうぜぇ。

クリアしなきゃ、どうせ抜け出せねえんだろうからよ。そうだろ支配人?」

どうだ、ニヒルな脱力タイプ

丁度いいだろ、このやる気の無さ。


「…ふふっ!

早速ゲームのルールを説明しよう!」

あ、なんかちょっと嬉しそう

上手くいった?

「だけどキャラには限界がある..普通だったらな、たけどオレは違う。」

こういうときデメリットはメリットに変わる。特にこういったゲームではな

「ルールは簡単だ!

お前たちには一人一回ずつサイコロを振ってもらう。でた目の数足場であるスゴロクの道を進み、ゴールを目指せ

但し足場には様々なイベントが発生する。停止した場所によって良し悪しは様々だ、己の運を願えぃっ!」

只のスゴロクゲームか、本当に暇を潰したいだけなのか?


「なんだかよくわかんねぇけど、やってやるよ!」


「遊びで私に勝とうっていうの?」


「サイの回転を予測し止める事が出来れば確率的に不幸を回避できます。」

上手く集めたなぁこの人たち

オレも上手いことキャラ頑張ろ。


「..ま、テキトーにな。」

宇宙人が上手いこと変化してくれてる運良く環境が味方して得意分野に当たったみたいだわ、よかった。

「それよりアイツ誰なんだろうなぁ。マント羽織って宙に浮いてるけど、顔は仮面で隠されてるし。」

まぁいいか、あんまり興味ねぇや。

「さぁ早速サイコロを振れ!」


「先ずはオレからだ!」

スタート切るのは大概熱血野郎だよな

空からサイコロ降ってきた、怖っ。

「痛っ!

おい、いきなり落とすなっての!」

あいつ主人公か?

頭に当てて怒ってるけど、面倒くさ!


「さぁサイコロを振れ!」

こういうのわかんないだなアイツ、言葉詰まっておんなじ事言っちゃった。


「よっしゃ、回れサイコロ!」

脚で蹴って転がすなよ、何が出る?

蹴り飛ばしたから回転が多いんだよ、考えろよって言いたいけどお前はそういうの考えないキャラだったな。


「出た目は...6か、よっしゃあ!

いきなり最高の出目で爆進だぜぇ!」

ありがちだなこういうの。

「6マス目か..フフ、良かったな...」


「12345...6!

どうだ、のっけから一番乗りだぜ!」


「おめでとう!

6マス目のイベントが発生だ!」


「なに!?」「足元を見てみろ!」

なんか文字書いてあるな。

「1億の借金を抱える、一回休みぃ⁉︎

いきなり1億ってどういう事だよ!」

幸先いい奴が被害被る。

やっぱりこういう事か、あいつはこれから基本的にイベントの効力を説明するシュミレーターに使われるな。


「うっ、体が重い..!」


「気付いたか、借金とはつまり物理的な重圧。抱えた借金の数だけお前たちは重みを増す、邪魔な足枷だと思え」


「うぅ...負けるかぁっ..!」

やめときなって後半キツくなるよ?

これからめちゃめちゃやらされるんだからさそれ。

「借金持つと体重たくなるんだ、オレも気をつけないとヤバいかもな」


「あら、思ったより臆病なのね。

もっと冷静だと思ってた」

あ、妖艶女子。

こういうのがいい線いったりするんだよな、一人だけ勝馬乗ったりして。

「回りなさいダイス!」

ダイスっていった、サイコロの事ダイスって言ったよ。スカした女だね!


「あら、5ね。

まぁまぁじゃないかしら?」

シラフで5出すってやっぱ持ってるね

「イベント発生だ!」


「あらイベント?」

ホントだ、文字書いてある。

なんだろ良い事かな。..良い事なんか起きないか、この世界で。

「道で1万円拾う、競馬で賭けたら5万円に増えた。」

良い事じゃん、やっぱ持ってたんだな

「やりー、五万円獲得ね♪」


「ふん、五万円如きで喜ぶか。

随分と簡素な人生を歩んでいるな」

あ、お前いたんだ。

「何よ?」「図星か女?」

いいからサイコロ振れよ、メガネ。

「言われなくても」え聞こえてんの?


「といいつつこれもまぁまぁわかってる、出た目はきっと...。」


「なっ、たったの1だと⁉︎」


「なによ口だけじゃない」

「バカな、そんな筈はっ!

サイコロの確率を見誤ったか..!」

知性派がトチる、こうする事でいかに難しいゲームかという証明になる。

「計算など無意味!

全ては運のデスゲームなのだよ!」

熱血特攻野郎、幸運美女、知性派焦りメガネ。そして残されたオレは...


「出目3だ、イベントは無しだな」

無難な橋を渡る目立ちにくい奴!

宇宙人よ、今回ばかりは丁度いいぞ。

「悪いな支配人

このゲーム、何も起きずに終わる。」


その先は、全て読み通りだった。

熱血野郎は殆どの悪いイベントを受け波乱万丈の人生を送った。

結果的に浮き沈みのコントラストが煌き、プレイヤーで一番の見応えを誇る人生を歩んでいた。


幸運女は初めこそ良かったが途中で借金過多となり、一度は振り出しにまで戻された。それを救ったのはメガネ、借金を肩代わりして返済しマス目こそ多く進めなかったが大きく他のプレイヤーの人生を助けた。

あれだけ煙たがられていたのに後半では、女といい感じになっていた。


かくいうオレはどうか。


「...よし、3だ。

え〜っと..丁度ゴールだわ」

何の紆余曲折も無くドラマも生まず、出目に合わせて進んだらスゴロクのゴールに辿り着いた。

「おい、着いたぞ?

早く出してくれ、終わりだろ。」


「バ、バカな...!

ワタシの世界が、こんなにも簡単に」


「いいから出せ、終わったんだから」


「バカなあぁぁっ!!」「うるさ。」

ゴールしたら床に落ちた

何の為に浮いてたんだコイツ。

...仮面の下見てみるか、顔見てやろ。


「……お前」

そういえば笑い方同じだったかもな。


「何してんの?」

「...ぐすっ、宇宙帰る..」「帰れ。」

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