二十三話 試合が終わってから
目を開くとそこは寮の天井だった。
「あ、起きましたね」
声のする方を見るとリオンさんがいた。
「どうして、リオンさんがここに?」
「それは試合の後、倒れたジルが心配で交代しながら看病してたからですよ。皆さんを呼びに行きますね」
リオンさんはそう言って部屋から出ていった。
「もう夜か」
窓から外を見ると暗くなっており月明かりが入ってきていた。星空は綺麗で雲は一つもなかった。
「おはよう、ジル」
「こんばんは~、ジル君」
「邪魔するぞ、ジル」
しばらくすると、部屋の中にテンリ、ミーナさん、エドモンドさんが入ってきた。
「こんばんは。心配かけてごめんなさい」
「気にするな、お前はよく頑張ったんだ」
エドモンドさんは俺の謝罪に対して優しく許しの言葉を返してくれる。
「そうだよ~。まさか六年生のしかも、そこそこ優秀なディナルドを倒しちゃうなんてさすが王族だね~」
「ありがとうございます」
ミーナさんの誉め言葉にお礼の言葉を返す。
「それじゃ、ジルも起きたことだし、祝勝会を始めましょうか」
そう言って、テンリがエドモンドさんとミーナさんを連れて部屋から一旦出ていく。
「あれ?そういえば、ソフィアは」
そこで俺はこの中にソフィアがいないことに気が付いた。
ソフィアなら俺のことを優先してくれて行動するからこの中にいないはずはないと思うんだけどな。まぁ、いつもそこまで優先したくてもいいとは言っていたんだが。
「ああ。それなら用事があるそうで一旦留守にするって言ってましたよ」
「そうなんだ。教えてくれてありがとう、リオンさん」
俺はリオンさんにお礼を言う。
「いえいえ、たいしたことないです。それよりも、お礼を言うのは私の方です。私を助けてくれて、救ってくれてありがとうございました」
リオンさんは頭を深々と下げてお礼を言ってくる。
「そ、そんなに頭を下げなくても大丈夫だよ」
リオンさんの行動に俺は少し戸惑いながら言葉を放つ。
「それでもです。ジル君は友達だからとか、自分が勝手にやったことだからとか、言ってくれるとは思います。ですが、それでもこの気持ちだけはしっかりと伝えて行動に移さなければと思ったんです」
リオンさんは頭を下げながら喋り続ける。
「わかった。わかったから、顔をあげて。お願いだから」
俺はリオンさんに顔下げられ続けて少し悪い気分になってきたので顔を上げるようにお願いする。
「わかりました。あと、一つお願いがあります。リオンさんではなく、リオンと呼んでください」
「え、いきなり、それは……」
「別に今すぐじゃなくてもいいですよ」
そう言って、リオンさんは小悪魔みたいな笑みをしながら部屋の外へと出ていった。
少し経つとみんなが帰ってきて祝勝会が始まっていった。ちなみに、祝勝会の食べ物は俺のことを考えてくれているような献立だった。
家出して自由に暮らしたい コロモ @koromodayo
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