居残り話

@

残りモノ

「──僕には何があるのかな」

学校の屋上でぼんやりと町並みを眺めながら、そんなことを呟く少年がいる。足を宙に投げ出し、落ち着きを失っているそれは、行き場のない思いの行き場を探しているようだった。

「性格良いじゃん」

隣で、少年を見下ろすソレが言う。

「…みんなそう言うよね」

無機質にそう言う少年の目は、どこか悲しそうである。

「性格なんて作り出せるんだよ。優しさなんて何に対しても軽く考えて、気が向いたときだけでも人が喜びそうなことをしておけば優しいって捉えられる。頑固もバカも短気もなんだって、真似をしていればいつのまにか自己として定着してる」

ふと、快晴を横切る白い線を見つけ、何かを考え始めたようだ。


少しの間が空いた後、ソレが声をかける。

「…勉強できるし運動もできる。メンツも普通に良いと思うし、発想力だってあると思うよ?」

「勉強も運動も君よりは劣っていたし、メンツは好みの話でしょ?万人に好まれているなら話は別だけど、別にそういうわけじゃない。発想力は人それぞれ考えてることが違うんだから当たり前じゃん」

ぶっきらぼうにそう言った。

少しの沈黙の後、少年はふいに腰を浮かせた。

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