姪との交流と、姉との日々の回想を交えて、人間の関係を描いた短編作品。
この小説の素晴らしいところは、何気ない場面に美しい表現や描写が散りばめられているところ。
その表現・描写が物語を深く掘り下げていってくれるんですね。
作中に起こる出来事の一つ一つはさほど突飛でないためにリアリティが濃く見えます。
かと言って、読んでいて退屈な現実を描いているわけではありません。
現実の範疇にありながら、物語性のある人生の一場面が切り取られているのです。
その上で表現や描写が物語に色を与えています。
とても綺麗なバランスで物語が作られているので、読んでいて非常に面白いんですね。
物語の組み立て方やシーンの切り取り方……といったことまで含めた、表現の妙が素晴らしい小説です。