読するとき
最近の私にとって読書は 毒 になりつつある。
今朝、読み終わった本は『さよなら世界の終わり』
読了して、孤独感を覚えた。
ただ何となく無性に見たくなった。
(こんなこと誰にも言えないが、ここには書いておこうと思う。)
今思えばこれは取り残された自分を感じないための私の心の処置だったのかもしれない。
私は、悩みを抱える人物が主人公の物語をよく読む。それを読んで、感情移入して、自分の心を代弁してもらっているような気がして、安堵していた。
悩んでいるのは私だけではない。他にもいる。と。
しかし、だんだん読んでいくうちに気づいてしまった。
大抵の物語は、良い方向に向かって終わる。例えば、過去の自分と決別するとか、大切な人を見つけるとか、前を向いて生きると決意するとか、儚く死んでいくとか。
私を取り残して、物語の中の人物たちは、進んでいく。真っ直ぐに、清々しそうに。
本の未読のベージが少なくなっていくのが辛かった。ずっと話が続けばいいと何度願ったことか…
だから、私は本に語りかけるようになった。
どうして行ってしまうの?私のこと置いていかないで。忘れないで。一緒に連れて行ってよ。本の世界に住ませて。この世界から私を攫って。
読み終わった後味といったらひとたまりもない。
孤独感に苛まされ、辛く、暗闇に落とされたような感覚になる。
ただの物語、されど物語。他人事には出来なかった。自分に似ている登場人物ほど感情移入してしまった。
私にとって、本は救いだった。神様だった。心の拠り所だった。
それが今となっては、恐怖の対象物となりつつある。
あんなに好きだったのに、読むことが怖い。
感情移入するのが恐ろしい。
またおいていかれる。
物語は終わってしまう。
私は独りになる。
悲しくて寂しくて辛くて怖くて仕方ない。
ずっと現実に、物語に出てきた人に似ている人がいないか探してしまう。
いつもいつも
私は本の世界に生きたい。
そう願っている。
無題遺書 消える氷 @koto21324
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