「後世の歴史家が評価してくれる」の前提

@HasumiChouji

「後世の歴史家が評価してくれる」の前提

『「後世、歴史が評価する」。今がどう評価されようとじっと耐えておのれを叱咤し、正しいと信ずる道を進んで行く。政治家のあるべき姿が淡々と伝わって来るA総理の退任会見を感極まる思いで拝聴しておりました。私もそうありたい……。』

 私は、我が党の党首でもあるA総理の退任会見の後、そうSNSに書き込んだ。

 何1つ偽らざる私の気持ちだった。


 私は、教材を作る際の参考になる情報を検索していた時に、たまたま目、この一文を目にして苦笑せざるを得なかった。

 あの時代の与党政治家がSNSにやった書き込みだが、あの時代の与党政治家の頭の中は、とんだ御花畑だったに違いない。

 仮に、Aに評価すべき業績が有ったとしても、その根拠エビデンスは当のAのせいで著しく信頼性が低いモノとなってしまっている。それは、Aの時代に起きた事であって、「後世」の我々には、どうしようもない。

 そして、私は、来期に行なう予定の学部生向けの史料批判実習の為のテキストに、こう書き込んだ。

「良く知られた話ではあるが、21世紀にAが我が国の総理大臣だった時代(2期目)は、公文書の改竄や破棄が横行し、この時代の我が国の中央政府の公文書は他の史料とのクロスチェックを経なければ信用してはならない。今回の実習の目的は、この時代の公文書をサンプルとして、不正確な史料の中の、どの部分が比較的信用出来て、どの部分が全く信用出来ないかを判別する手法を身に付ける事である」

 さて、後の時代にAが歴史家によって評価されると思っていたあの政治家は、我々「後世の歴史家」に、どれほどの手間をかけさせるつもりだったのか?

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