第62話 『浅葱色の桜 ―流転、最果テ上ル』 初音さん

〇作品 『浅葱色の桜 ―流転、最果テ上ル』

 https://kakuyomu.jp/works/16817139555219896912

 

〇作者 初音さん


【作品の状態】

 長編。連載中!


【セルフレイティング】

 暴力描写有り。


【作品を見つけた経緯】

 元々初音さんの『浅葱色の桜』を読んでいて、こちらが第三弾になります。『問わず語り~』でも、前の作品を紹介していますので、よかったらご参照ください。また、『浅葱色の桜』の前の二作品のURLも次の【シリーズ紹介】に載せておきますので、良ければ合わせてご覧ください。


【シリーズ紹介】

『浅葱色の桜』はシリーズになっていて、今回紹介するのが三作品目です。もしかすると今から追いかけるのは「長くて無理!」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、作品一つひとつが独立しているので、どこから読んでも入り込めます。


 また、最初の作品『浅葱色の桜』はダイジェストがあるので、それを読むとこの作品の大まかな設定が掴めます。


 私はあまり歴史は得意ではないのですが、それでもダイジェストを読んだだけで問題なく作品に入り込むことができました。まだ読んでいない人も、歴史が苦手な方も読めるおススメ作品なので、是非読んでみてください!


①『浅葱色の桜』

 https://kakuyomu.jp/works/1177354054885795068


②『浅葱色の桜 ―堀川通花屋町下ル』

 https://kakuyomu.jp/works/16816410413965779576


【ざっくりと内容説明】

 新選組に所属する、島崎朔太郎。本名、近藤さくら。

 彼女は男だけの組織のなかで唯一の紅一点。しかしそれを隠し、男のように生きてきたのですが、それが今回の話ではどうやら違ってきているようで……?


【感想】

 新選組に所属する、さくら。

 新選組の中に女がいることが知られたら、色々と不都合が生じるということがあったため、彼女は長らく自分の性を「男」と偽ってきました。しかし、秘密というものはどこからか漏れてしまうもので、前作の段階で露見。

 どうなるかと思われましたが、さくらの活躍や義弟である近藤勇の存在もあって、隊の中でそれを明かしても許されるようになりました。ようやく自分の性を隠さずともよくなったさくらですが、今回はそれが仇となってしまうようで……? どちらに転んでも難しいのがこの時代なのかなと思います。


 さて、私はこの感想を『親孝行』の辺りまで読み終えて書いているのですが、最初から大きな事件が目白押しです。坂本龍馬の暗殺事件から始まり、次に新選組の裏切り者と対峙する話が続きます。

 戦う者たちの緊迫した空気感。敵対する者たちとの腹の内を読み合い。手に汗握るような攻防――。


 時には寝食を共にしたものと対峙しなければいけないときもあり、面と向かって刃を突き合わせるというのは、どういう心境なのだろうと思います。読んでいると、江戸の末期から明治の始まりに向かう時代というのは、本当に殺伐としているなと感じます。斬るときは容赦なく斬る。そうでなければ自分たちが危うくなる……。それは分かってはいるのですが、人情というのもあるもので、いくら割り切っていたとしても悩むこともあります。また、敵に寝返った相手を助けようと思って手を差し伸べても、相手にその気がなかったり。上手くいかないこともあって、虚しい思いにさせられることもあります。


 それでもさくらはその時代の志士として、真っ直ぐに前を向き、国のために働き、血を流しつつも懸命に生きるのです。さくらはその時代に生きる者たちと、現代に生きる読者とを繋ぐ架け橋でもあり、新選組を初めその時代に生きる者たちの代弁者なのだろうなと思います。


「新選組に女がいたら」というのは確かにフィクション設定ではありますが、歴史を調べてみると実はそういう噂もあったようで、この作品を読んでいると本当にそういうことがあったのではないかと思えてきます。

 新選組の中でも上位に入るほどの、心と剣の強さを備えているさくら。その生きざまは、誰が読んでも「格好いいな」と思うことでしょう。


 今回の作品でシリーズが完結となるお話です。彼女の最後の戦いを、今だからこそ追いかけてみて欲しいです。


 今日は『浅葱色の桜 ―流転、最果テ上ル』をご紹介しました。

 それでは次回、またお会いしましょう。

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