まいにち

@NaGamiNN

第1話

AM7:02

アラームを2分間放置したあとの覚醒だ。

廊下を挟んで向かいの居間では

人が忙しなく活動する音がする。

焦燥感を煽るその音をほうへ向かう。

コーヒーサーバーを起動して、待つ間に

顔を洗うという僅かなモーニングルーティンを

済ませてから席につく。

ウインナーと目玉焼き、それにご飯。

平凡の2文字が似合いすぎる朝食を食べる。

AM7:43

「じゃあ行ってくるね!」

と慌てた声で言ったのはお母さんだ。

共働きの我が家。彼女は少し頑張りすぎだ。

仕事に家事全般。それに学校の役員。

傍から見ても過労と呼べるだろう。

それというのも、お父さんのほうの

無能さからなのだろうが、口には出さない。

兄弟3人で家事の手伝いはある程度行っているが

それでもお母さんの負担は大きい。

お父さんがなにもしないから。

ただ、下手に「手伝って」とかいうと

急に怒るから面倒なのだ。

正直言うと、将来僕もこうなるのでは

と不安に思うほどにはやな人だ。

実の親にそんなこと思うのはいけないんだろうけど

嫌いなもんは嫌いだから仕方がない。

AM8:05

僕の登校時間だ。

学校までは自転車で約20分程度。

かなりギリギリの時間だ。

というのも、僕は朝のホームルームに

数人の、あまり仲が良くない人しかいない。

という状況が嫌いなのだ。

何故。と言われれば、何故か。と答える。

理由は僕にもよく分からないから。

AM8:27

ホームルームに着いた。

後ろのドアから入って自分の席につく。

30分からSHRが始まるから動いてはいけないけど

一応まだ始業していないっていう微妙なこの時間は

手持ち無沙汰から特に意味もなくリュックの

中を確認したりする。

AM8:50

さぁ一日の始まりだ。

一限から体育である。きついわ。

体育では行うスポーツを選択することが出来る。

僕はバレーがしたかったが、ジャンケンに負けて

ソフトボールになった。

今覚えば、あれが人生で1番大切な

ジャンケンだったかもしれない。

ソフトボールが難しすぎたのだ。

野球に興味が無いからルールを知らない。

野球のルールを知らないってことはもちろん

ソフトボールのルールもしらない。

ただただ野球部とソフト部の

「走れ!」と「戻れ!」に翻弄される。

AM9:54

過酷な球技を終えてアッツアツの身体を

クーラーのある教室で冷やす。

やはり制汗スプレーやボディシートは

高校生にとってスマホより大切なものだ。

あれがあるだけでかなり違う。


スマホよりは言いすぎた。


二限目はパソコンだ。

メガネを掛けているため、この授業で

初めて話した隣の席のクラスメイトに

「パソコン上手いでしょ」って言われた。真逆。

なにも分からない。隣の席のクラスメイトだ。

数ヶ月あたふたしながら協力して

授業を乗り越えてきた頃には仲良くなった。

AM11:00

三四時限は数学2連続だ。頭がショートする。

体育の疲れを癒すために休憩時間に

深い眠りについていた僕は授業が始まって

10分ほどしたときにようやく目覚めたらしい。

でもって、最悪の目覚め方。

体が「その体勢で寝るな」って言ってるんだっけ。

ビクッとして目が覚めた。机はガタッと鳴った。

はっずかしぃーい。

あたかも何も無かったかのように

伸びをしてから再び眠りについた。

AM11:24

ようやく目が覚めた。

既に2/3が埋まっている板書を移し始める。

さっきの羞恥心は二度寝の十数秒で消えた。

PM12:34

四限目もそろそろ終わるというとき。

僕の体内で地震が発生した。

僕は必死に腹に力を入れた。

今ここで食い止めなければ、クラスメイトに

「ぐぅ~、きゅるるるる」っていう

音を聞かせるはめになってしまう。

自然には勝てなかったので、諦めて

寝たフリ作戦に移行した。

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