第22話
「球技大会?」
「はい、球技大会です」
昼休み、いつものように昼飯を食べていると、菫がそんなことを言い出した。
「最近、体育とかで練習したり話を聞いたりしませんでしたか?」
「あー、確かにそんな事言ってた気がする」
「海君は何に出るんですか?」
「まだ決めてないかなー。今日の体育で決めるかもしれない」
「わかりました。決まったら教えてくださいね」
「わかった」
そんな会話を交わしながら、昼休みは過ぎていった。
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「なあ陽一、お前は何に出るんだ?」
「俺か?そうだなあ」
五時間目、体育の時間の休憩中に陽一に聞くことにした。今は体育館でバスケットボールをしている。
「う~んバスケかなあー。外に出たくないし」
「?他にも何かあるのか?」
「外でサッカーをするか、体育館でバスケをするか、はたまた教室でオセロなどをするか」
「球技大会なのにそんなのもあるんだな」
「今はスポーツをやりたがらない奴も多いらしいからな」
俺も特に部活に入っているわけではないので、体を動かす機会を恵んでもらえるのはありがたい。
だが、困ったのはどちらに出るかだ。サッカーもやったことがなければ、バスケもほとんどやったことがない。結局体育でしかやってこなかった。
「いっそのこと俺もオセロにするかな。陽一は?」
「俺は何か強制的にスポーツの方にされてる。何でだろうな」
「いやそれは……何でもねぇ」
多分陽一のファンみたいなのが、陽一の活躍しているところを見たいのだろう。相変わらず自分に向けられている好意には鈍感な野郎だ。
「それにあいつに良いところ見せたいしな」
「あいつ?ああ春風さんね」
春風さんとは陽一の幼馴染み兼彼女の名だ。ラブラブなところを周囲に隠さず見せているのに、未だファンもいるんだな。そっちの方が驚きだ。
「お前も葉山さんに良いところ見せたいんだろ?だったらサッカーかバスケにしたら?」
「俺はお前みたいに運動神経は良くないんだよ。だから出たところで活躍できるとは限らない」
「……お前は十分すぎるほど運動神経は良いけどな」
迷ったところ、俺と陽一はバスケにした。
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「海君、決まりましたか?」
「ああ決まったよ。バスケにすることにした」
下校中、今日決まったことを菫に話している。
「わかりました。じゃあ私はバレーにします」
「ん?何か関係あるのか?」
「体育館の半分はバレー、もう半分はバスケって感じなんです」
「へぇー、そうなのか」
「海君の活躍しているところを見るの楽しみです!」
「いやいや活躍できるとは言ってないからな?多分相手も本気でやるだろうし」
「そうでしょうか?その場しのぎの人も多そうですけど」
「女子に良いところを見せたいんだよ」
「ああー、そうですか」
心底どうでも良さそうに菫は相槌をうつ。
「私もスポーツしているときにあまり見られたくないんですよね、気持ち悪いですし」
「俺も自分の彼女をそういう目では見られたくないんだが、そうもいかないだろ」
「海君が活躍して他の女の子が好きになっても大変なんですよ!……球技大会ってリスク高いんですね」
「菫は別として俺はモテないよ。陽一じゃあるまいし」
「海君は自己評価が低めですからね……」
そう言うと前に歩いていた菫がこちらを向く。
「球技大会、頑張りましょうね!」
「……そうだな」
俺も菫も活躍できますようにと願い、足を進めることにした。
ラブレターをもらい、待ち合わせ場所に行ってみると、そこにいたのは塩対応で有名な美少女だった @1ya12ma2to
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