第6話 それから

 約束の日です。


 凛は真っ白い着物を着ていました。隣の神社の中庭に術円が描かれています。

明るいうちからかがり火が焚かれ、準備は整いました。凛が術円の中に入ると凛から青白い炎が上がります。わたしが目を背けようとすると。


「最後の時じゃ、見守ってあげよう」


 神主のおじさんは凛を見つめながら言います。


「はい、心に今の凛を刻み込みます」


 青白い炎は凛を灰色にしていき、やがて砂の様に崩れていきます。儀式が終わると術円の中に凛の砂だけが残っています。わたしはその砂を集めて袋に入れます。


『すべての凛が救われますように……』


 願いを込めると軽く揺れます。携帯で調べるとマグニチュード3と表示されます。凛が巨大地震から救ってくれたのか……。


 でも、過去、未来、並行世界の凛は救われたのであろうか?


 ……感じる……凛を失って悲しみにくれる言葉が消えていく。


 この世界のわたし達の願いが叶ったのだ。わたしは凛の砂の袋を抱き締める。


———……。


それからの事である。わたしは大学を卒業して自由になったのでバックパッカーとして世界中を歩いていた。


 今はメキシコの田舎道を一人で歩くのであった。


 この世界はまだまだ争いや災害が絶えない。この目で見ることで、凛のしたかったことを探すのであった。胸ポケットには砂袋が入っている。


 不意に後ろから呼ばれた気がした。振り返ると誰もいない。


 ふーう。


 大きく息を吐くと何事もなかったように歩き出す。


 そう、これがわたしの生きる道である

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凛と夕菜の生きる道 霜花 桔梗 @myosotis2

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