第6話 お勤めご苦労変人廻りです。

 家を無くした財布や道を知らない老人が、最後に行き着く優しい小屋。

それはたしか「交番」と呼ばれていた


「お気をつけてー!」


「ありがとねぇ。」


「いえいえ!

..ふぅ〜、今日も平和だぁ。」

「じゃないのよ」「え?」

身体が小さいと、逆にサイズが無いというおかしな問題に直面する。


「なんでこんな格好して交番にいんのこれ金の無い警察の役職でしょ!」


「金うんぬんは知らんけどさー。

仕方ないでしょ、切り裂きジャックの野郎が無駄な遺体持って来ないようにってさ、ホントは嬉しい癖にねー。」

迷惑沙汰案件ならば死者は出ないだろうと臨時のお巡りを捻じ込んだ。

 基本的に捜査「遠」課は組織に信用されていないので適当な案件でもまかり通る、重要なのは〝おかしい〟かどうか。通常の案件以外の厄介事だ。


「おまわり出勤しまーす」

「だからワタシたち刑事だよね?」

交番の中は間抜けの殻、元々人がいたのかと思う程さっぱりとしている。

ぽつんと隅に置かれた机には白々しく案件と思われる書類がクリップボードに閉じられている。


「連続片軍手盗難事件..」


「連続って付ければ事件っぽくなると思ってるよね、ただの盗難だし。」

事件の詳細は以下の通りだ


犯行は決まって正午、土木作業場や民家の倉庫などから軍手の片方のみが盗まれ、後日路上で発見される。

棄てられる道路は決められておらず、規則性の無いランダムな道で見つかる


「恐ろしい事件だね。」

「どこがよ、良くあるやつじゃんか!

アレを態々自分でやってんの!?」

偶に見る光景の現象作り、しかし意味をなさない軍手の〝アレ〟を己で生成している。

「相手は錬金術師か..」

「違うよ、ただの暇人だよ」


なので付き合う必要なし、終わり!

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