スセリ姫は愛され方を知らない

TeamHitom!

出会い

第1話 見知らぬ世界


――は?


しばらくの間、私はソコで呆然と立ち尽くす。

それから、少しでも情報を得るためにキョロキョロとあたりを見回してみる。


木が見える。その隣にも木。木。木。どれもこれもが太さもまちまちで、根元には雑草としか認識できない草がうっそうと茂っている。


「いや。どこ?(笑)」


少し皮肉に笑いながら私は誰もいない真昼間の森の中、たった一人で呟いた。


        ★


「なにこれ。ほんと最悪……」


そう悪態を呟きながら、のびのびと育った雑草たちをがっさがっさと踏み鳴らして先へと進む。

ここがどこなのか。どうして自分はこんなところにいるのか。何度、考えてみても思い出せるのは寂れた神社のお社で缶ビールを飲んでいた事だけ。それも夜にだ。それが突然、どうして明るい森の中に……?


そんな事を考えながらも森を抜ける為の速足は緩めない。

そうして、しばらく歩いた先に少し開けた場所が見えてきた。


「あ!やっと出られる!」


嬉しそうに声を出した彼女は膝まで伸びた雑草が行く手を阻むのも気にせずに駆けだした。

あともう一歩で外に出られる!そう胸を弾ませるが、だんだんと見えてきたのはただの開けた河原だった。


期待していたのは、道路とかコンビニとか……、百歩譲ってバーベキュー会場やキャンプ施設だったが、森の中を彷徨うよりかはマシ!


そう考えていた彼女に幸運なことが訪れる。

その静かに川岸に、なんと人の姿が見えたのだ!


良かった!釣人か何かは分からないけど。助かった!

そうして彼女はソコで初めて出会った人に助けを求めて駆け寄った!


「すみませーん!!」


        ★


「すみませーん!!助けてくだ……」


言いかけたところで、彼女の足は急にスピードを落とす。

そして、余韻で2、3歩歩いたところで立ち止まった。


――ゴクリ。


息をのんで佇む視線の先にいるのは――。

こちらを振り返る、凛とした顔立ちの美青年だった。


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