第6話復讐
私は本当に愚か者でした。
私を陥れたのは、伯爵家を手に入れようとした実の妹だったのです。
妹が吟遊詩人だった男に金を払い、私を誘惑させたのです。
全てを知って、私の怒りは頂点に達しました。
魔族に魂を売り渡しても、妹に復讐すると心に誓いました。
幸いなことに、私が殺した屑男は、隠し金を持っていました。
それを使って、魔族を召還するのに必要な材料を集めました。
もう躊躇いはありませんでした、わずか三日で材料を買い揃え、それを使って魔族を呼びだし、魂を売り渡しました。
そのお陰で、屑男の記憶を読む事ができました。
私はその記憶を元に、私を馬鹿にした女達に復讐しました。
もう森で肌を焼く毒液を集める必要などありませんでした。
魔族の血は猛毒であり劇薬でもあるので、魔族に魂を売った私も、魔族と同じ身体になっていますから、その血を浮気女の顔に吹きかけ、焼け爛れさせました。
二目と見られない焼け爛れた恐ろしい顔になった女達は、半狂乱になって泣き叫んでいましたが、いい気味です。
その後で、私は懐かしい実家の伯爵邸に忍び込みました。
魔族となった私は、誰の目にも捕えられない、透明になれるのです。
懐かしい実家は、妹家族の物になっていました。
幸せそうに笑う妹家族に、私の怒りは頂点に達しました。
血の繋がった甥や姪であろうと、憎しみの対象でしかありません。
だから、身体中に私の血を吹きかけて、焼け爛れさせてやりました。
妹は激しく嘆き悲しみましたが、私にはその悲鳴が心地好い調べでした。
でも、それだけで終わらすほど私は優しくありません。
嘆き悲しんで疲れて眠る妹の口に私の血を入れ、内臓を焼け爛れさせました。
でも直ぐに殺すほど優しくないので、薄めた血を飲ませたのです。
少しずつ内臓が焼け爛れていく激痛で、妹は床をのたうちまわっています。
その姿を見てようやく溜飲が下がる想いでした。
これからも殺さずに苦しめ続けてやります。
甥と姪と義弟は、もう二度と伯爵邸から出られないでしょう。
とても伯爵邸を出る気になれないくらい醜い容姿になっていますし、焼け爛れた皮膚が常時激痛を与え続けますから。
妹はずっとそれを見聞きしながら生き続けなければいけません。
そのために、眼も耳も傷つけずに残してやっているのです。
後は伯爵家の家財を盗み出し、金銭的にも追い詰めて、醜い容姿で物乞いをしなければいけないようにしてやります。
元伯爵令嬢、伯爵家の女当主が、粗野な平民に衰えた容姿を馬鹿にされながら、売春をしなければいけないようにしてやります。
全てを諦め苦痛を感じなくなった時に、殺してやりましょう。
浮気には死を 克全 @dokatu
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