第33話 私の婚約者様はおかしい
私はプリシラ・ブルー・ジェンキンス伯爵令嬢。誰もが顔を背ける太った豚体型です。まあ、こんな私をもらってくれそうな方もいないから食べてストレスを発散しよう!!
こんな私にも見合い話は来た。両親も半ば諦めているのだが、一応貴族の令嬢だしね。毎回、見合い先でおやつをバクバク食べて帰ればいいこと。
と快く見合いに向かう。相手の姿絵も確認せずに今度はどんなお菓子かしらとしか思ってなかった。
そしてどうやら侯爵家に到着した。やはり侯爵家ともなると大きいわね。
私の見合い相手は、ロビン・テッド・ファインハルス侯爵家令息と聞いた。
まあ、どうせフラれるし早くお菓子出てこないかな。
と待ってると、両親と共に少し俯き気味の栗色の髪の美少年が現れた!
父親の方も凄い美形だ!完全に遺伝だ!母親は特に普通だけど髪色は美少年と同じだ。
しかし顔を上げ、私をジッと見る美少年の黒い瞳が何かさみるみると輝き出した!!
な、何?
そしてその美少年のロビン様が一言目に発したのが
「き、ききき君のそのお腹!触っていいかな!?」
だった!!
な、なにそれ?バカにしてるの!?
ムカついたのでもうサッサと婚約破棄してもらいたく、思い切りぶっ叩いてしまった!!
両親はもはややってしまったと言う顔しかしてない。後で怒られるだろうけど一応レディに大変失礼なのはそっちもだからね!
と怒って帰ったら後日、是非婚約をと正式にファインハルス侯爵家の方から書面が送られてきたと言うので私含めて両親も驚いた!
「何で?とうなってるの??」
と疑問しか起こらなかったが、両親は喜びサインしてとうとう婚約してしまった!!
「まあ、私をからかって遊ぶ為にわざと婚約したのね」
と思っていた。
しかし…、ロビン様は律儀に手紙を送ってきたりプレゼントを送ってきた!!
手紙を読んでみるとそこには恐ろしいくらい、10歳が書いたとは思えないラブレターが書いてあった!!
【愛しのプリシア嬢へ
お見合いの席では大変失礼しました!つ、つい本能が先にくちにでてしまいました!
貴方を見た瞬間から僕の脳内に変化が起こりました。こんな事は初めてでこざいます。この感情を恋と呼べばよろしいのでしょうか?
僕の唯一無二の魂の片割れに出会えたような奇跡です!貴方のそのふくよかな身体に僕の心は釘付けです!
けしてふざけてこんな事を言っているのではありません!一目見て好きだと感じました!!どうか僕の気持ちをわかっていただきたいです!
婚約者となった今、とても幸せです!!プレゼントもたくさん贈ります!愛しております!プリシア嬢!
またお会いできる日をたのしみにしております!
ロビン・テッド・ファインハルスより愛を込めて】
私は手紙を読んで、手を震えさせ
「嘘でしょ!?私なんかに…」
と絶句した!今まで会った人は全員私のことを見てクスクス笑い、豚だの樽だの言ってバカにしていたのに!
「そんなまさか…」
しかしその後、デートを申し込まれたり、茶会に招待されたり、夜会にももちろん出席させられた。
その度にずーっとロビン様は熱視線で恍惚な顔をして私を見て褒めちぎり手を取ると甲にキスしたりしている!もはや目が輝きその中にハートまで見えるから変な薬でも盛られてるんじゃと疑うが、ロビン様は数ヶ月しても変わらなかった!
そして…ある日のこと、ロビン様は
「プリシア嬢…じ、実は…お母様に赤ちゃんができたんだ!!ぼ、僕の弟が妹が!」
と言ったので驚いた!!
随分とまあ年の離れた…。
「それはおめでとうございますとエルメントルート侯爵夫人にお伝えください!
今度赤ちゃんの贈り物もしなければ」
と言うとロビン様はにこりと微笑み
「ありがとうございます!プリシア嬢!僕達にはまだ早いと思いますけど僕も早くプリシア嬢との子供が…」
と言うのでぶっ叩いた。
時々やらしい目で私を見てくるロビン様怖い!こんな美少年なのに!!
「ロビン様、お兄様になられるんすからね?」
「わ、わかっております!僕は弟が妹を守らなくてはいけません!あのおかしな両親達から!」
と拳を握りしめているが、ロビン様も十分に変なところがあると思うので無駄かなー?と私は思ってしまう。
一緒に赤ちゃんのおもちゃなどを見に行ったら
「ふふふ、将来僕もプリシア嬢との子を…ふふふ」
とか1人でブツブツ言ってるし怖い。
うーん、私も少し痩せた方がいいのかしら?そしたら婚約解消してかれるかも?
いや、そもそもこんな美少年と婚約してることがおかしい。でもロビン様は太った娘が好きそうなので結局私はたくさん食べ物をプレゼントされてつい食べてしまうのだ!!
全く変な婚約者様だわ。と奢られたアイスを食べているとロビン様がジッと見て
「プリシア嬢!鼻にクリームが!!」
と言い、何ともちもちほっぺを掴まれてペロリと舐められた!
いきなりの接近にドキドキして豚昇天しそうです!!
しかしいつまでも頰に手を置きプニプニ触ってくるので私はいい加減離せと腹パンした。
「うぐっ!愛の拳があああ」
と悶えていて私はちょっと死んだ目で引いた。
ロビン様は私と手を繋ぐ時も気持ちよさそうな顔をする。弾力が好きらしい。もうデブなら誰でも好きなんじゃないかと聞いてみたら
「それは違います!誰でもなんて事はないですよ!プリシア嬢だけです!」
と言い張った!本当だろうか?私は街を見回してふくよかな女性を見つけると
「じゃあ、あの方なんてどうですか?」
と言うとロビン様はその方を見て静かに首を振った。
「ダメですね、なってない!確かにふくよかですが、触りたいとまでは思えません。やはり僕にはプリシア嬢だけです!」
「ど、どう違うのかわかりませんわ?ロビン様は本当におかしな方ですわ」
「はあ、プリシア嬢を前にすると理性がぶっ飛ぶだけです。他の人はどあだもいいのですが、なぜかプリシア嬢だけなんです!
僕にもわからないからきっと前世で繋がっていたのかもしれません!愛し過ぎて胸が張り裂けそうです!
ああ!僕早く大人になりたいです!」
とまた怖いことを言うロビン様。
デートの帰り際に馬車に乗る前に思い切りハグして来るし、ドキドキするけどどさくさに紛れロビン様は私のもちもちボディをサワサワしてくるからまた腹を殴って
「それでは失礼します」
と私は馬車に乗り込んだ。
「ああっ、プリシア嬢、また!必ずまたお会いしましょう!!大好きです!!」
と言ってロビン様は手を振りいつまでも見送ってる。相当重症である。
うーん、ロビン様の顔は良いけど、中身が信じられないくらい変だと思う。侯爵夫妻もどこかそんな空気あるしやはり似た物親子なのねぇ…。
と私は思った。
引きこもりの婚約者に会ったら目が死んでいるし前世が女らしいですわ 黒月白華 @shirofukuneko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます