第4話 気持ちの問題は無駄じゃない

「気持ちの問題は無駄じゃないのよ!」

「そうなんですか?」

「体力もそうだけど持久走は気持ちの問題が一番でかいと言っても過言でもないわね」

「気持ち問題ですか…」

「あと自分をどこまで追い込めて伸ばせるかが重要よ」

「自分を追い込んで伸ばす…勉強になります」

「よし!話してるのも時間の無駄だし、1500m走るよ!」

「……はい」


「はひゃ、はふぅ、もうむりゅ」あはは、もう足の感覚がなくなったよパトラッシュ…

「今日は…まぁ頑張ったね」

頑張ったよ俺頑張った。

「今日のところは解散かな、明日からはもっとビシバシ行くよ!」

これ以上ビシバシされたら死んでしまうんではないんでしょうか?

「明日の昼空いてる心無君?」

「空いてますけど?」

「よし!明日から昼ごはんを一緒に食べよう」

「突然ですね…別にいいのであればいいですけど」

「決定ね!じゃまた明日!」

「はい…また明日…」はぁ…今日めっちゃ疲れたから家に帰ったらすぐに寝よう!決定だ。


校門前で見覚えのある男が立っていた。

「あれ?心無じゃん」

「村上じゃん」

この男の名は村上京介。村上京介は俺と同じ沼ノ咲高校1年の卓球部。趣味はゲームと答える普通の高校生である。

「お前陸上部だったけ?」

「今週だけ陸上部系男子だよ」

「なるほどな。今週だけ陸上部系男子か。今週だけ陸上部系男子ってなんだよ!」

「あれだよ、今週だけ陸上部に入る男子のことだよ多分」

「適当だな…」

「適当だろ…」

………やべぇ喋ることがなくなってしまった。

「と、とりあえず修羅屋でも行くか?」

「どうするかな…」速く帰りたい気持ちもあるが、こいつとの有効関係を築きたい気持ちもある。

「……奢ってやるぞ」

「行こう!」奢ると言われたからには、行く以外の選択肢はない。


『修羅屋』それはお手ごろ価格で中・高生に大人気な店である。特に味噌ラーメンが上手い。


「いらっしゃぁーい!!」店員の声が突き抜ける。

いつも驚くんだが、こんな気合いが込められた店員のいらっしゃいを聞ける店はここしかないな。


「2名です」

「了解!2名様の御来店でーす!!」店内に響き渡る声。うるさい。


席に座る心無と村上。

「ここの店員は本当に声がでかいよな」

「ああ、それぐらい気合いが入ってるんだろな」

本当にここの店員の声がうるさい。だが、ラーメンは絶品。日本の美味いラーメン屋ランキングの上位にいる程のお店なのである。


「味噌ラーメン2丁おまちい!!」うりゅさい。


『いただきます!』

「最近どうなんだお前?」

「え?」

「陸上部に入ったんだろ、なんか変化あったのか?」

「まだ1日目だぞ変われるにも変われねーよ!」そんなにすぐに変われたら人間は苦労をしないんだがな。

「お前が変われることを願ってるよ」

「そんなことよりラーメン食えよ伸びるぞ」


「またの御来店をお待ちしております!!」

「いや〜変わらない味ってやっぱり最高だな!」

「だな!また行こうぜお前のおごりで!」

「次はお前が奢れよ(笑)」

「出来たらな」

「じゃあまた明日な心無!」

「ああ、また明日な村上!」


村上とラーメンを食った後すぐに家に向かった。

「やっと家だ…」早く寝たい…眠たすぎて瞼が閉じてきた…。さぁ我が愛しの家はすぐそこに…

「…………」

心無は言葉を忘れる程に驚いた。何故なら、家の目の前で、倒れている男を発見したからである。

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無駄なラブコメをしないラブコメ 七四砂南 @135Ky

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