第11話 ゼウシス寮
俺は、スマホの着信音で目を覚ました。
知らない番号。若干怪しみながらも、俺は通話ボタンを押した。
「・・・もしもし?」
「あ、出たわね。私よ。これから一時間以内にすぐに必要な荷物だけまとめておいて。じゃあ。」
『ブチッ・・・ツーツーツー』
要件人間すぎるだろ・・・
今の、柊だよな?・・・昨日のは夢じゃなかったのか。
・・・とりあえず、荷物をまとめよう。最低限の荷物なら一時間でもなんとか間に合うだろう。
そうして俺は、着替えや保険証、通帳など本当に最低限の荷物をまとめた。
家の外に出ると、柊が待っていた。
「おはよう。」
「あ、あぁ。おはよう。」
俺が戸惑いながら返事を返すと、
「ところであなた、ご両親は?一応同意書くらいもらっておこうと思ったのだけれど。なぜかご両親の情報だけ調べても出てこなかったわ。」
「両親はもう2人共死んだんだ。同意書って何なんだ?」
「そうだったの、ごめんなさい。同意書って言うのはあなたまだ未成年だから、聖騎士寮に入るのにもらっておこうと思って。別になくても問題ないからいいわ。」
「そうか。は?俺が聖騎士寮に入るのか?」
「そうよ?聖騎士見習いは基本、寮に所属するの。あなたも知っているでしょ?あなたはゼウシス寮の聖騎士見習い。だから今日からあなたもゼウシス寮に住むの。当分は日本支部にいることになるから心配しなくてもいいわ。学校は、行くとしたら聖騎士直轄の魔術学院になるけれど。」
「魔術学院に通えるのか!?」
魔術学院は聖騎士を育てる学校の中でトップに君臨する学校だ。世界貴族も多く在籍しており卒業生の8割以上が聖騎士関連の仕事に就く。わざわざ各国の魔法科高校を卒業した後に進学してくる生徒も多く、うちの学校でも魔術学院への進学を目指す者が多い。正真正銘のエリート校だ。
「本当は聖騎士見習いがわざわざ通う必要はないけれどあなたが本気で聖騎士になりたいのなら通っておいて損はないと思うわ。あなたに通う気があるのなら私の推薦で手続きをしておくわ。」
「できることは全部しておきたい・・・通わせてくれ!」
「いい返事ね。なら平日は学校に通って、休日は聖騎士見習いの仕事をすること。すごく大変なことよ。できる?」
「やる・・・望むところだ。」
すると彼女はニッコリと微笑んで
「なら学園長に連絡しておくわね。後であいさつに行きましょう。」
「じゃあ、そろそろあなたの仕事場へ行きましょうか。」
一瞬で目の前の景色が変わる。何度見ても感動してしまう。
「さあ。ついたわよ。ようこそ、魔術ベース日本支部へ。」
そういうと、彼女はスタスタと歩いて行ってしまう。
彼女に連れてこられたのは大きな城と勘違いしそうになる大きな建物だった。
「ここが今日からのあなたの仕事場、ゼウシス寮よ。」
「ここがあの・・・?」
「えぇ。あなたの部屋に案内するわ。」
そのあと俺は彼女に寮内を案内してもらった。
「さて、一通り案内も終わったところだし、学園長のところに行きましょうか。」
約束の聖騎士 星奈 @amimaru
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