異世界転生ものでは決して欠かせない登場人物、それは主人公たちが初めてギルドを訪れた時に絡んでくるおっさん……!
牛丼でたとえると肉でも米でもなく紅ショウガのような存在だが、物語を彩るという意味では欠かせない存在だ(※好みには個人差があります)。本作はそうやって若き冒険者たちに絡んでくるおっさん、【ウザ絡みのルイード】が主人公。
さっそく冒頭から若き【稀人】の冒険者にウザったく絡んではあっさり撃退されるのだが、実はこのおっさん、かつて魔王を討伐したものすごい冒険者。魔王討伐後、出世や栄達を望まず、さりとて隠居もしたくないので、暇を持て余して新人の育成や実力調査という名目で日夜若者に絡んでいるのだ! いろんな意味でめんどくせえおっさんだな!
しかも根が良い奴だし演技が下手なので、ところどころで棒読みになったり色々不自然になるわけだが、そういう不器用なところが逆に良い味を出しているのだ。
おかげで邪険に扱っているようでもルイードの下には自然と人が集まるのだが、天然でルイード以上にウザい絡み方をするノームの少女とか元アイドル冒険者とかいずれもくせのある者ばかり。そんな変わった若者に慕われ振り回されながらもギルドで起きる色んなトラブルを解決するおっさんの日常が楽しい一作だ。
(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=柿崎 憲)
いまや「冒険者ギルドのテンプレ導入」と聞いただけで、多くの人がこのウザ絡みの流れを想像できると思う。
この作品はそんなウザ絡みする側に焦点をあてたものである。
他にあるのかは知らないが、
たしかにそういう設定の作品ありそう!と、少なくとも自分は思わせられた。作者の優勝である。ありそうでなかったのが1番すごいのだから。
主人公設定的に、おそらく舞台や人物関係に変化は少ないと思われる。だからこそ、ふらっと立ち寄って楽しめる、短編集的な作品になると期待でき、更新毎に読むweb小説にはもってこいである。
がっつり旅するファンタジーの箸休めとしても、皆さんにおすすめしたい。