会社での日常 風刺

乱輪転凛凛

第1話

パターン1



上司「何やってんだいい加減にしろ!」



「はぁ嫌われてんのかなぁ」

「どうしたの? 怒られたの?」

「うん」

「何かミスした?」

「ミスしたんだけど……なんか上司に嫌われてる気がする」

「そっか……気晴らしに一緒に呑みにでも行くか」



呑みの席



「もうヤダよー。仕事」

「まぁそう愚痴んなって」

「もうホントに仕事辞めたい」

「てかなんで怒られたの?」

「書類の不備が多すぎるって」

「まぁそりゃ怒られるよな。ミスを減らしていくしかないって」

「あの上司なんか苦手で、自分だけ目の仇にしてる気がする……」

「例えば?」

「例えば? うーーん……」

「見てる限り目の仇にされてるって感じしないけどなぁ」

「そう?」

「うん。あの上司割と厳しいけど公平だと思うよ」

「でも……」

「私も結構怒られてるよ。ほぼ全員怒られてると思うけど」

「そっか私だけじゃないのか……気にしすぎかな……」

「悩み解決した?」

「うん。ありがとう」



次の日



「おはようございます!」

上司「おお、どうした今日は随分元気だな」

「今日も元気よく頑張っていきます!」

上司「おう。期待してるぞ!」





パターン2



上司「何やってんだいい加減にしろ!」



「どうしてあんな言い方……」

「どうしたの?」

「なにも言いたくない」

「ホントにどうしたの? 話聞くよ?」

「……」



呑みの席 複数人



「上司にいきなり怒鳴られて……怖い…」

「わかるー。 あの上司すぐ怒鳴るよね。しかもどうでもいいことで。ホント可哀想」

「私もー。あの上司ヒステリックって言うか。ホントすぐ怒鳴るよね。あれで人が動くと思ってんのかなあいつ!」

「ホント意味わかんないよね! 私もこの前電話対応で怒られた」

「えー? そんなことで怒るの? 絶対あいつ奥さんに家で暴力ふるってるパターンだって!」

全員爆笑

「てか、私あいつにセクハラされたことある」

「えーー? 本当?」

「本当本当。書類を手書きしてたら字がキレイだねって急に言われて、キモくてホント、ビックリした」

全員「うわぁーー。きもーー。」

「ねぇ。ホントヤバくない?」

「絶対狙われてるって」

「あいつ自分がセクハラしてるのに気づかないパターンだ」

「そういえば……私もセクハラされたことある」

全員「え? どんなこと? どんなこと?」

「オフィスであいつが後ろ通ったら髪触られた」

「え? ヤバ。普通にセクハラなんだけど。どんどん出てくんじゃん」

「後ろ髪触られた感覚があったんで後ろ振り返ったらあいつが歩いてたんで絶対あいつ」

「えー? それ絶対犯人あのクソ上司じゃん」

「え……急に怖くなってきた……」

「私もある……トイレあるじゃん。個室のトイレの壁にある小さい穴がずっと前から気になってて……」

「え? どゆこと? どゆこと? まさか」

「あの上司がスマホ持ってトイレの近くに居るのを見て、ホント怖くなって……盗撮されてたらどうしようって」

「えーー! ヤバい 怖い!」

「え? ホントに怖くなって来たんだけど」

「でもそれホントっぽい……今どきの隠しカメラってほんのちょっとの穴からでも盗撮出来たりするから」

「ええーー??! ヤバい。犯罪じゃん。ずっと盗撮されてたってこと?」

「あの会社怖い……もうやだ……行きたくない」

「盗撮疑惑が出る会社って頭おかしいでしょ!」

「これ全員で声あげないと……」

「明日全員で本社に行こう!」

「うん!」



本社

「実は私達セクハラされていて……」

「え? 本当かね?」

「怖くてストレスで仕事に行けない人もいて、こんな職場で、働けないです……」

「誰がセクハラしたって?」

「あの上司です。私達を盗撮したり、後ろ通るたびに髪の毛触ってきたり、可愛いねとか急に言い出したり……私達本当怖くて……」

「もう早くなんとかして下さい!」

「怖くて仕事が出来ません!」

「盗撮? 盗撮ってどういうこと?」

「トイレの壁に小さい穴があって、それ昔は無かった穴なんです。そこからカメラで……もう怖くてトイレ使えないです!」

「本当かね……分かった……すぐに対応する」

「私達が言ったって絶対に言わないで下さい! 何されるか分かりませんから!」

「分かった。それは絶対に言わない」



次の日



会社のトイレが立ち入り禁止になっている。

「あれなんでトイレが使えなくなってるんだろ……」

「ちょっと君来てくれる?」

「はい……え……本社の人がなんで……」



「君、君の部下の社員からセクハラされたって訴えがあったんだが」

「え? セクハラ? そんなことは一切してません」

「でもすごい剣幕で君の部下が訴えてきたぞ。君部下とちゃんとコミュニケーションとれてるかね」

「いや……でも……本当にセクハラなんて全く心当たりがなくて……」

「髪の毛触られたって言ってたぞ? あと女子トイレの前をウロウロしてるって、盗撮されてるかもって」

「はい? 盗撮? なんのことですか? 盗撮なんて絶対ありえないです。誰がそんなこと言ったんですか?」

「被害者の名前なんて出せる訳ないだろ! なんでこんな訴えが出てくるんだよ! 普通にしてたらセクハラ疑惑なんて出て来ないだろ!」

「いや、でも私はセクハラなんてしたことは絶対にないです!」

「髪の毛触られたって言うのは」

「絶対に触ってません。セクハラが怖くて絶対に触らないようにしてました」

「なんでトイレの前で突っ立ってたんだ」

「覚えてませんけど……仕事の関係の連絡

かと……どうしてそれが盗撮につながるのか分かりません」

「でも随分怖がってたぞ。怖くて仕事が出来ないって……」

「……」

「なんでこんな問題が起こるんだね……」

「……」

「結局こういうのはコミュニケーションの問題なんだ。普段から誤解されるような行動をとってるから周りに不安を与えるんだよ」

「……」



一ヶ月後



「ねぇあの上司辞めたらしいよ」

「知ってる。知ってる。自分で辞めたらしいねー」

「てかあいつ、奥さんと子供いるのにあいつ何やってんだって感じ」

「ホントそれ」

「でも、やっぱ声あげて良かったね!」

「うん!」

「職場環境が少しだけ良くなったね」

「そう! ホントそれ」

「最近仕事楽しいね!」



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会社での日常 風刺 乱輪転凛凛 @ranrintenrinrin10

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