着物を愛する葉子は、生まれて初めてオーダーメイドの着物を和裁士・糸井薫に仕立ててもらう。その着物をまとって出かけた落語の席で、彼女は思いがけず糸井と顔を合わせることになるのだが――?
薄荷色の着物からはじまる、ちょっぴりシニカルな葉子と、純情男子な薫の恋物語です。この薫くん、純情に見せかけて、策士な一面もあったり、時にリードする場面もあったりと、とにかくもう乙女心をくすぐる、くすぐる!
終始、にやにやと顔を緩ませながら読ませて頂きました…薫くん、本当に好きです。
また、随所で描写される着物の描写や、地の文の言葉の選び方も素晴らしいです。新しい着物を取り出す時に、着物を包んでいる薄紙をそうっと開く…そんな静かで心地よい音と空気(そして、もちろん、薄荷の清涼な香り!)に満ちた素敵な物語でした。
皆様ぜひ、ご一読くださいませ。