Session03-08 会見
案内されたのは、
平塚が
「
「
刑部と名乗った男の姿は、
エアリルと紹介された陽森人族の少女の姿は刑部に比べて
王女と紹介されたため、アイルを始めとする四人は平塚に
「
「ハハッ!そこの二人、床几を五
「「ハハッ!」」
平塚の指示で二人の兵士が床几を持ってくる。それを展開し、
アイルとフィーリィはさっと座った。それを見た二人は
「お二方は、ご興味がおありかな?」
「……ああ。こんな
「……これは
「はい。我が国の交易神に仕える司祭にて捧げ済みです。それがいかがしましたか?」
「それなら良うございました。私も初めて見た品ですから、最近作られたばかりなのでしょう。……素材としては木と布。
カイルはほっと息を
「……それはまたご
「刑部卿……私は
刑部が口元に笑みを浮かべながら、カイルを試すような質問をする。それに対するカイルの答えは、彼の
「……カイル殿。そなたの矜持を
刑部は謝罪の言葉を口にした。それだけで、四人は驚きを覚えていた。刑部卿と言われるということは、何かしらの役職、または貴族であろう。そんな立場の者が、試した事に対して自分が悪かったと
「改めて、
「……
「私は商人として、奴隷を扱っております。先程戦ったザスコ子爵の領地の街で、奴隷を購入いたしました。その際に私の金の使い方と、この街の商人でないということで、奴隷や金を巻き上げようと狙われたものと思っております。正式に手続きを行い街を出ると、少ししたらザスコ子爵軍が街を出て同じ進路を取ったため、
「……ふむ。カイル殿、少しお伺いしたいのだが……”
刑部の質問に、カイルは言葉を詰まらせた。先程まで力を込めていなかった拳が、固く握られ、視線は刑部に見られないように少し下を向いていた。口は固く閉じられ、何を言うべきか迷っているようであった。
「……カイル。刑部卿とアイルなら大丈夫だ。……誇れることなんだ。言ってやれ。」
腕を組み、
「今回、私が買い
「……お二人は、いくつなのかね?」
「三十五になります。私達と同い年生まれの者でそれです。その親の代となれば、五十五や、六十……生きていればですが。三十五でも、労働奴隷と考えれば、正直、
「……少し、発言を
「……フィーリィ殿だったな。かまわんよ。」
カイルとラースの
「……先程、アイルから私達の目的が間引きであると説明いたしました。それは一面の説明でしかありません。私達の本当の目的は、チョトー周辺の”迷宮”指定地域の解放のための下調べです。カイルさん、ラースさんが秘めてるであろう望みとも
「……ほぉ?フィーリィ殿の言う望みとは何かな?」
「この
「……続けなさい。」
「続けさせていただきます。私も
「チョトーの”迷宮”か。……そなた達の助力をするのではなく、我らで解放し、
「それはあり得ませんね。」
フィーリィは
「”迷宮”を解放するために、どれくらいの損害が出るのか。そして、解放したら翠森の国は奪おうと兵を出すはずです。そして、薄森の国自体の防衛のために兵は残さないといけない。どうしても手に余ります。それなら、私達を介して、紅葉の国のレンネンカンプ
「……うむ。そなたを冒険者にしておくのは惜しいな。どうかね。有能な人材は歓迎するのだが、いかがかな?」
フィーリィの考えは、刑部の
「お誘いはありがたいのですが、私はもう”我が君”と呼ぶ者を決めております。ねぇ、”
フィーリィがニッコリと笑顔を浮かべて、アイルを見た。その慈愛に満ちた目線と笑みで、その気持の向く相手を察した刑部は
「……そうか、そうか!人それぞれ、色々あるものぞ。そなたが選んだ道を
刑部はフィーリィに応援の言葉を贈った後、アイルへ向かって真剣な眼差しを向ける。アイルは改めて背筋を伸ばし、両の手を太ももの上に置き直した。そして、刑部の目を見つめながら一度、大きく頷いてみせた。
「……”迷宮”の解放後、紅葉の国、もしくはそなたの手で翠葉の国を
”
……どちらも夢物語なのだ。……ならば、夢物語が一つでも二つでも、変わらないではないか?
”
右の手の甲をなぞる。
左の手の甲をなぞる。
アイルは瞑っていた目を見開くと共に、印を隠していた手袋を外し、力強く立ち上がって宣言をする。
「”アイル・コンラート・フォン・ベルンシュタイン”の名において、大谷刑部少輔吉継卿の申し出を受け、チョトー地方の解放の後、翠葉の国を盗ることを、右手に宿す”首座神”の加護、左手に宿す”戦女神”の加護に誓約する。これは、我が名、我が生命を持って契約するものであり、無効とするには我が死をもってのみ
「”大谷刑部少輔吉継”の名において、”アイル・コンラート・フォン・ベルンシュタイン”と契約する!」
「”エアリル・レム・アミダルス”の名において、”アイル・コンラート・フォン・ベルンシュタイン”と契約する!……私は王女ですから。私と刑部卿の二人で契約することで、二人とも安心できるでしょう?」
エアリルが、アイルと刑部に向かって笑ってみせた。今の今まで飾り物であるとでも言うように黙っていた彼女だったが、最後の最後に
だが、この中で一番驚いていたのはラースとカイルであっただろう。なにせ、助けを求め、助力してくれた奴が
「……ところで
「……ふむ、よかろう。」
刑部が女性と思わしき名を呼ぶと、幔幕を巡って顔を隠した女性が入ってくる。一本足の下駄を履き、
「……そなたがアイルか。カカ神様より聞き及んでおる。数奇な運命を持つ者よ。」
ワケあり!?女オーガの嫁取り冒険譚〜ハーレムを求められたら受け止めるしかないだろう!?〜 加藤備前守 @larcail
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