第4話 リ・ブート

ボクはひざから地面じめんくずちた。

もうってるちから

つくくしちゃったってかんじだ。

リョウにいちゃんは光学型こうがくがたデバイス?

というのを使つかって、

ヒカリのっかをつくした。

そして、背中せなかんづけられたままの

スケレットさんの両手足りょうてあしにはめることで、

身動みうごきをふうじちゃった!


「トモヤ!ケガはないか!?」


にいちゃんは素早すばやくボクに近寄ちかより、

きかかえてくれた。


「あ、ありがとう……おにいちゃん。

 ボクより……2ふたりは?大丈夫だいじょうぶかな?」


リョウにいちゃんはボクをきかかえたまま、

サッとA・RちゃんとC・Aちゃんをる。


「……うん、たとこコアの消耗しょうもう損傷そんしょう

 はげしいようだが、戦闘せんとうけて回復かいふくすれば

 問題もんだいないレベルだな!」


……そうなんだ、よかったぁ。

ボクはホッとしながら、あのほうかおける。

ボクとリョウにいちゃんのすぐそばに、

最初さいしょつけたときとおなじ、

人形にんぎょうさんの格好かっこうをしてコンクリートのうえ

ペタンとすわっている。

ボクはおにいちゃんのうでなかからると、

ってげてあげた。

大分だいぶきずついてよごれてしまってる、

それにトロンとしたをしているけど

無事ぶじではあるみたいだ。


つづいて、C・Aちゃんをると、

くろいヒカリのひろがりとともに最初さいしょ姿すがたもどった。

ひざ地面じめんにつけてもううごくことはできないような

様子ようすだけどいのち別状べつじょうはないみたいだ。

もううごくこともはなすこともできないみたいだった。

わりにおじさんが大声おおごえさけんだ。


「くっそっ!おまえらみたいなガキんちょどもに

 やられるたぁな!なんなんだ、おまえら!?」


べつに2ふたりともいたって普通ふつう

 高校生こうこうせい小学生しょうがくせいだっつーの。

 おっさんたちこそ物騒ぶっそうきわまりない

 じゃねーか!あのV・Dもだが……

 何者なにものなんだよ?」


「へっ、

 大人おとなしくそんなことしゃべるわけねーだろ!

 だが、まぁ……そこのドール……

 A・Rをつづけるもの……

 とだけっておくか……」


「おお、なんかうら骨髄こつずいにまで……

 ってかんじだもんな、おまえら2ふたり

 さて、じゃ善良ぜんりょう学生がくせいさんは、

 凶悪犯きょうあくはんをおまわりさんにでも

 すとしましょうかねぇ。」


リョウにいちゃんがデバイスで

まわりさんへの連絡れんらくをしようとしたとき

きゅうにおじさんのカバンが

にいちゃんのほうびかかってきた!

まるでものみたいだ!

にいちゃんはギリギリで

なんとかガードしたけど、つぎ瞬間しゅんかん

カバンはものすごいヒカリをして、

ボクたち2ふたりがくらんでしまった。

ようやくえるようになったときには

C・Aちゃんもおじさんもカバンも

えてしまっていた。


「くそ!まだとおくまでっていないはずだ、

 のがすか!……っていたいとこだが、

 この状態じょうたいいかけるわけにも

 かないよな……。」


まぶしさから回復かいふくしたリョウにいちゃんは、

ボクとあのてそんなふうつぶやいた。


……あれ、なんだかまわりがさわがしくなってきた?


散々さんざん物音ものおとひかりがしたせいで、

 まわりもザワつきはじめたな。

 このはとっととずらかろうか!」


そういっておにいちゃんは

ボクの背中せなかささえてたせてくれた。

ボクはA・Rちゃんをかかえて

にいちゃんについてはしってく。


ふんほどはしってボクたちは

ちかくにある公園こうえんんだ。

全速力ぜんそくりょくはしってきたから、

うっすらとあせをかいてる。

ぜえぜえというおおきないきをはきしながら、

ボクはブランコにすわる。となりのブランコには

A・Rちゃんをせてあげる。

もう完全かんぜんじてしまっていて

まるでねむりについているかのようだ。


「ねぇちょっと!大丈夫だいじょうぶ!?」


「……。」


返事へんじがない!?ま、まさか……。


「トモヤ、安心あんしんしな。

 散々さんざんくろいのにやられていたから

 ボディーはガタガタだし、

 肝心かんじんのコアもくすんでいるが、

 大急おおいそぎで修理しゅうりすればなおせるよ……。」


「ホント!?リョウにいちゃん、

 おねがい!たすけてあげて!」


ボクがそういったとき

リョウにいちゃんはボクのほうすこしのあいだつめて、

それからA・Rちゃんをじっとる。


「なぁ、トモヤ。このをホントに……。」


にいちゃんがそこまでったとき……

突然とつぜんA・Rちゃんのドレスのなかからハト?

みたいなロボット?がてきた!


「おめでとうございます!

 あなたはこのV・Dと契約けいやくたし!

 見事みごと、V・D・Gへの出場しゅつじょうを……。」


「ちょ、ちょっとって!」


きゅうにしゃべりしたロボットのくちをあわてて

ふさいでめた。

でもまだしゃべりりない様子ようす

もごもごとしている。


「ゴメン!いまちょっといそいで

 この修理しゅうりをしないといけないから!」


「ん、もご。……しかし、説明せつめいをしないと

 こちらも時間じかんがですね……。」


「ダメだよ、いまは!あと、あとくから!」


ボクはわるいとはおもいながらも

無理矢理むりやりはなしわらせようとする。


「むー、かりました。ただし!

 今日きょうじゅうにワタクシの説明せつめいかないかぎり、

 出場しゅつじょう資格しかくさせてもらいます!」


……な、なんだかまだよくわからないけど

……まずは修理しゅうりだ!


「リョウにいちゃん!

 どうすればたすけられるの!?」


「……これはさすがにおれだけじゃ無理むりだな。

 なおすには師匠ししょうちから必要ひつようだな……。」


にいちゃんは真剣しんけん表情ひょうじょうってから、

カバンのなかからキレイなふくろして、

ボロボロのA・Rちゃんをくるんだ。


相談そうだんをかけてみるか……

 トモヤ、とりあえずおまえ学校がっこうきな。」


「うーん、ボクも一緒いっしょきたいんだけど、

 ダメかな?」


気持きもちはわかるがな……

 おまえ手出てだしできることもとくにないんだ。

 だから、しっかり授業じゅぎょうけていって。

 アニキたちに心配しんぱいかけたくないだろ?」


「……うん、わかった。かならたしけてあげてね!」


になってになってしょうがないんだけど、

ボクは学校がっこうくことにする。


学校がっこうわるころには

 むかえにいってやるからな。」


リョウにいちゃんはそううと

ってってった……。


それからはというと……

ボクはそのあと授業じゅぎょうけながら、

ずっとそわそわしながら一日いちにちごした。

どうしてもどうしてもどうしても、

あののことをかんがえてしまうのだ。

そんなかんじでうわのそらでいたら、

とうとう先生せんせいにもしかられてしまった。

いけない、いけない。

学校がっこうではちゃんとしてなくっちゃ!

そんなボクの様子ようすに、ケイコちゃんやカズヤ、

シズカちゃんだけじゃなく、友達ともだちもみんな

心配しんぱいしてくれていたらしい。

ゴメンね、みんな……。


そして……

ボクにとってながなが時間じかんぎて……

ようやく放課後ほうかごになり、

すぐかえ支度したくませて、ボクはる。

校舎こうしゃぐちまでてきたところで、

ちょうどリョウにいちゃんが

校門こうもんむかえにてくれた。


「リョウにいちゃん!」


「よぉ、しっかりおつとめしたようだな。

 感心感心かんしんかんしん!」


たのしそうにおにいちゃんはわらった。

自分じぶんまえではいつもこんなかんじなんだ。

毎日毎日まいにちまいにち、つらいときだって

きっとあるはずなのに……

ホント、すごいなぁとおもう。

そんなおにいちゃんの様子ようす

ボクは安心あんしんするんだ。

今日きょうも、そしていつだって……。


「ふっふっふっ!たまえ、これを!」


そうっておにいちゃんが

カバンのなかからしたのは、

相変あいかわらずはつぶっているけど、

ボディーやドレスが新品しんぴんになって

すごくキレイになったA・Rちゃんだった。


無事ぶじだったんだね、よかったぁ。」


ボクはほっとかたをなでおろす。

にいちゃんも満面まんめんみだ。


「リョウにいちゃん、ありがとう!」


「へへへ。

 れいわれるほどのことはしてねぇよ。

 ま、さすが師匠ししょうおれってかんじかな!」


そうって上着うわぎのポケットのなか

ゴソゴソとさぐって、

したものをボクにかってほうげた。

あわててボクがキャッチしたそれは、

あわくキラキラとひかるコアだった。

たたかいのとき薄汚うすよごれていたけど、

いまはピッカピカにされていて、とてもキレイだ。


「そののコアをおまえではめてやるんだ。

 そしたら、おまえのコアからびかけて、

 この目覚めざめ【リ・ブート】れば、れておまえたちは

 パートナーになれるってわけだ。」


「え?あさ契約けいやくっていうのをしたのに、

 それをやらないとパートナーには

 なれないってこと?」


「ま、そういうことだな。

 どうする?あきらめるか?」


リョウヤにいちゃんは

まるでボクをためすかのように

言葉ことばといっしょにのぞきこんでくる。

でも、ボクのこたえはまっているから。


「……やるよ、リ・ブートっていうの。」


このはボクに

『マスターをさがしていた』ってってた……

なにかワケがあるんだ、その理由りゆうりたい!


ボクはきかかえられたA・Rちゃんと

にいちゃんのまえる。

そしてコアをすと

くびにあるくぼみにはめこむ。

そしてボクのコアをかさわせるようにして、

あのときみたいなかんじでひかるよう、

このきてくれるよう、

こぶしにちからをこめた。


……あれ?なにもおきない?


「え?え?あれ?なんで!?」


ねむったままだ。

ウソでしょ?このまま目覚めざめないなんて!


残念ざんねんだがうまく起動きどうできないようだな。

 それじゃこのおれいのところに

 わたしたほうがよさそうだな……。」


「そ、そんな!ま、って!おにいちゃん!」


ボクは必死ひっし意識いしき右手みぎて集中しゅうちゅうさせる。

ねがい、おねがいだから!


(このは……マスターになるひとってる!

 それなら!なるんだ!そのマスターに!

 ボクが!)


「トモヤ、もうあきらめろって……。」


「……イヤだ!もうあのときみたいに

 だれかがいなくなるのはイヤだよ!」


だから!おねがいだ!リ・ブートして!!


そうつよねがったとき……

かがやくヒカリが

ボクとA・Rちゃんのコアからひろがって……

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V.D.G-夢幻の花- リアび太 @Riabita

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