第3話 ジャンクション

「リョウにいちゃん!」

「よう、トモヤ!しばらくわないうちに

 またすこしでっかくなったんじゃないか?」

リョウにいちゃんはわらいながら、

きかかえていたボクを

地面じめんへとやさしくろしてくれた。

た、たすかったんだぁ……

ボクはホッとしてちょっとちからけちゃった。

「な、なんでここにいるの?」

「ああ、ホントにたまたまとおりかかったんだよ、

 野暮用やぼようでぶらついてたら。」

そういながら、おじさんと

C・Aちゃんのことをキツくにらむ。

「そしたらおまえつかまってて……

 おまけにほうげられるのがえたから

 あせったぜ。おい!おまえら、

 よくもトモヤをこんなにいためつけてくれたな!

 万倍まんばいにしてかえしてやるぜ!!」

おじさんはおにいちゃんをにらみながら

げナイフをカバンからし、

C・Aちゃんはあいかわらず

A・Rちゃんをたたきつづけている。


「なんだかやかましいヤツがえたな……

 おまえはこれでももらってろ!」


げナイフがおにいちゃんにとんでくる!


バチィーン!!


なにかがはじけたようなおとがしたあと、

げナイフがちかくのおうちのへいさる。

「へっ!ご自慢じまん光学型こうがくがたデバイス……

 三下さんした相手あいて使つかうにゃもったいねぇ代物しろものだが、

 特別とくべつせてやるよ!

 いたにあってもらうぜぇ!」

おれのナイフをこぶしはじくだとぉ?

 コイツ、格闘技かくとうぎ心得こころえがあるのか?

 ますます生意気なまいきなヤツだ……

 きにしてやりてぇぜ!」

両手りょうてにナイフをってかまえるおじさんにたいし、

にいちゃんはファイティングポーズをとる。

その両手りょうてにはひかりあつまっていて、あかせん?で

かたちつくられたグローブをしてるみたいだ。


「トモヤ、うごくなよ!コイツを片付かたづけて、

 あのドールもすぐにはらってやるからな!」

にいちゃんはゆっくりと、でもジリジリと

おじさんにちかづいていく。すごい自信じしんだ!

ボクも身体からだじゅういたくって地面じめんから

がるのもくるしいけど、なんとかがる。

「リョウにいちゃん!あの……

 あのしろたすけてあげなきゃ!」

リョウにいちゃんがおじさんから目線めせんはずさない

ようにしながらA・Rちゃんたちのほうる。

「おお、あのV・Dか……

 たしかにワンサイドぎてていられないぜ。

 よし、おれがあのくろほうすきをついてたおす!

 そのあいだにおまえしろをかっさらってげろ!

 いいな!」

リョウにいちゃんはボクに有無うむわせない調子ちょうし

一気いっきにしゃべったあとちからをためるようにさらに

こしひくくかまえる。


「てめぇ!ナメるな!」

おじさんは両手りょうてのナイフを一斉いっせいげつけた!

それをおにいちゃんは左手ひだりてだけで

全部ぜんぶはじきとばした!そして!

くぞ!トモヤ、はしれ!」

リョウにいちゃんは右手みぎて正拳せいけんきをした。

すると、あかせんでできたこぶし空中くうちゅうんでいき、

C・Aちゃんの背中せなかにすごいいきおいでぶつかった!

「ガガガガ!」

くるしそうなこえげてまえほうにC・Aちゃんが

ふっんでいった。


そのあいだにボクはA・Rちゃんのところへちかづく。

「ねぇ!大丈夫だいじょうぶ?いたくない?」

「……アナタヲマキコムワケニハイキマセン

 ……ハヤクココカラハナレテクダサイ……」

そんな!ボクをたすけてくれた

見捨みすてることなんてできない!

こうのほうではC・Aちゃんが

ゆっくりとカラダをおこしている。

リョウにいちゃんの攻撃こうげき

すごくおこっているみたいだ。

ボクはむかとうとしているA・Rちゃんの

右手みぎてっぱってなんとかげだそうとする。

「……モウオアソビハオワリダ!

 A・R、オマエハイマスグ

 ヤツザキニシテヤル!

 ホカノニヒキハマトメテクシザシニシテ

 モッテカエッテヤル!」

不気味ぶきみわらいをかべてC・Aちゃんが

すこしずつちかづいてくる。


もうダメ……?ううん、あきらめないぞ!

ボクには、ボクには……

やらなきゃいけないことがあるんだから!

そうおもったとき……ボクの右手みぎてがなんだか?

あつい!?とおもっててみると


「……!ソレハ……!」


A・Rちゃんもビックリしてる?

もちろん、ボクもだけど!

なんだかキラキラひかってる!?

さっきのA・Rちゃんと

てるようながする!


「ミツケタ……」

「え!?」

「アナタハ……アナタガ……ワタシノ

 サガシテイタ【】ダッタ。」

「え?どういうこと?さがしていたって?」

ボクがかえしたそのとき……

おじさんたちがおどろいたこえした。

なんだと!?このチビッコロ、

 やっぱり選別者せんべつしゃだったのか!?」

「……ヤハリワレノカンジタトオリカ。

 チョウドイイ!スケレット!

 オマエハモウイッピキノホウヲ

 カタヅケテシマエ!

 ワレハA・Rトコゾウヲヤル!

 ソシテコアヲカイシュウシテ

 ユウコウカツヨウシテヤル。イヒヒヒヒ!」

「おぉ、デッド・オア・アライブか。

 ま、たしかにんじまったとしても、

 のヤツらみたいに無理矢理むりやりたたかわせる

 ようにすりゃいいか!ヒヒヒ……。」


 スケレットさん?とC・Aちゃんは

 あらためてかまなおした。


「トモヤ、おまえはやげろ!

 ここはおれがなんとかする!」

リョウにいちゃんはあくまでボクにげろと

ってくれているけど……


「オネガイデス。ワタシトケイヤクヲ

 ムスンデクダサイ。ソウスレバ……」

言葉ことば途中とちゅうでA・Rちゃんからはピー、ピーと

いうおおきなおとがしてなんてっているのか

からなくなっちゃった。

もうかなりボロボロだ……

もしもボクがなにかできるのなら……

「わかった!どうすればその契約けいやくはできるの?」

「アナタノコアトワタシノコアヲ

 カサネアワセルノデス。」

コア?このひかってるヤツのことかな?

A・Rちゃんのくびのあたりにおなかたちのモノが

ひかってる……。よし!ボクは右手みぎてひかっている

コアをA・Rちゃんのコアにかさわせる。

すると……ボクとA・Rちゃんのコアのヒカリが

どんどんおおきくなる!

ものすごいヒカリがボクたちを中心ちゅうしんにして

あたりにひろがっていった。

そして、そのヒカリがおさまったとき、

ボクはヨロイをにつけていた……

さっきまであのがしていたものだ!

肝心かんじんのA・Rちゃんはというと、右肩みぎかたに……

ボクがつけたときよりさらにちいさなサイズの

人形にんぎょうみたいになって、ちょこんとっている。

こ、こんなふうになるのが契約けいやくなの?


「あいつら、ジャンクションしやがった!

 この短時間たんじかんでマジかよ!?」

スケレットさんは大分だいぶおどろいているみたいだ。

「くっ!こうなったら、特別製とくべつせいのナイフで!」

「おっとぉ!させねぇぜ!」

リョウにいちゃんのパンチをおじさんはカバンを

たてにして、ギリギリでガードした。

「ちっ、しつこいヤツだ!」

「おっさんこそとしかんがえて、

 さっさとおんねしてやがれ!」

そんなやりとりをしながら、

ふたりはナイフとグローブをぶつけって、

たがいに一歩いっぽかない。


一方いっぽうで、ボクはA・Rちゃんと一緒いっしょ

C・Aちゃんとにらみう。

相変あいかわらずゾッとするような笑顔えがお

しているけれど、ボクにはわかる!

あののカラダのまわりになんだか

へんなヒカリやちからあつめられているのが……

これもA・Rちゃんと契約けいやく?ジャンクション?

っていうのをしたおかげなのかな?

(ジャンクションモードデハ、

 マスタージシンニヨルソウサガ

 メインニナリマス……

 ワタシハマスターノサポートヲ

 イタシマス。)

あたまのなかにこえこえてくる……

くちさなくても会話かいわができるんだ!

かったよ!どうすればいい?)

(ソレハ……コアヲ、

 ココヲネラッテクダサイ!)

ん?C・Aちゃんのおなかのあたりが

ひかってえる?

……うん、あそこをねらえばいいのか!


ボクたちが身構みがまえると、C・Aちゃんが

最初さいしょにボクに攻撃こうげきしてきたときみたいに

ほそはりかぞれないくらいして、

それをどんどんひとつにまとめて

おおきなスピアーにしちゃった。

そして、くろいオーラがあふれたと

おもった瞬間しゅんかんいきおいよくこちらに

っこんでた!


「シネェィイイイイ!!」


や、やられる!?とおもった瞬間しゅんかん

きゅうにボクらのまわりがくらく、

ゆっくりになって……

時間じかんまっちゃうんじゃないのか

っておもうくらいのスピードで

C・Aちゃんがスピアーを

そうとしてくる。そして、

ボクたちはそのきを楽々らくらくとよける……

まるでボクのカラダがボクのものじゃない

みたいに、勝手かってうごくんだ!


(ど、どういうことなの!?)

(コレガワタシノノウリョク……

 REMシステムニヨルイワユル

 【ミライヨチ】デス。

 システムデノケイサンケッカヲモトニ、

 オートデヨケルヨウサポートシテイマス。)

くわしくはわからないけど、

すごい能力のうりょくみたいだ!

……?でもだんだんスピードや

まわりのあかるさがもどってる?

(イマノジョウタイデハシステムモ

 ナガクハモチマセン……

 キヲツケテ!ヒカリヲネラッテ!)

「マサカシステムマデ

 キドウサセルトハ!

 シカシ、モウオワリダ!」

A・Rちゃんが言ったとおり、

どんどんきのスピードががっていく。

ボクはギリギリのところでよけながら、

右手みぎてのコアに意識いしき集中しゅうちゅうさせる。

なんとなくわかる……A・Rちゃんが

使つかっていたソードをイメージするんだ!

そして、ボクは右手みぎてをC・Aちゃんの

ひかっているところにはらった!

ボクもなんとかソードを

つくすことができて、

コアにも命中めいちゅうさせることはできた、

だけど……そこでボクは、

ボクたちのジャンクションはわって

2人はもと姿すがたもどっちゃったんだ。


ボクたちはおたがいにうごかない……

うごけないでいるまま2~3びょうくらい?

時間じかんながれたあと……

C・Aちゃんからへんなけむりやおとがしはじめた。

「……ググ、コアノダメージガオオキイ。

 コノママデハ……。」

(ドウヤラ、アイテニウゴケナクナルクライノ

 ダメージヲアタエラレタヨウデス。)

そ、そうなのか?


そしてボクがうしろをくと、

おじさんが地面じめんたおれて、

その背中せなかをリョウにいちゃんが

みつけているのがえた。

秘技ひぎ、【回旋龍かいせんりゅう】ってな。

 コイツを使つかわせるなんて、

 なかなかやるじゃねぇか……。」

ボ、ボクたちみんな、

なんとかたすかったんだ……


たたかいはわったんだ……。

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