4 魅かれ合うふたり

二人は指と指を絡ませて手を繋いでホテルに戻り、辺りに気を配りながらエレベーターに乗った。10階の部屋に着くまで、一言も喋らずにいたが手は繋いだままだった。部屋に入りドアを閉めると、真斗は彼女を抱き寄せた。そのままベッドに行こうとしたが、茜からストップが掛かった。

「真ちゃん、焦らないで!私こう見えても、ドキドキなんだからね。まずはシャワーを浴びて、落ち着かせて!」茜は彼から離れ、浴室に向かおうとした。

「俺だって心臓が破裂しそうで、一緒に入っていい?」茜は小さく頷いた。

 ベッドの中でキスをして、その後は真斗がリードしていった。

「真ちゃん、ずっと好きだよ。私、真ちゃんと違って初めてだから、優しくしてね。私に優しくするために、十分勉強してきたでしょ!」

「それは言わない約束でしょ。茜、ずっと好きだった!優しくするからね。」真斗はゆっくりと進めていき、二人はゆっくりと結ばれた。


 翌朝、両親は早く帰るからと言っていたので、二人はのんびりと朝の幸せな時間を過ごした。

「茜、もう真ちゃんって呼ぶのは止めて、真斗でいいよ。これからどうする?」

「真斗!これでいい?これからって、二人のこれからってこと?」

「ああ、それもあるけど、今日のこれからだよ。」茜の思っていた事とは違った。

「今日は元町をぶらぶらして、中華街でお昼を食べよ。それより私達のこれからは、どうするの?真斗の意見を聴きたい。」茜は彼に詰め寄った。

「同じ大学へ行って、恋人同士でいたい。一緒に住みたいけど、すぐには無理だろうな。もし茜が良いなら、大学を出てから結婚したい。」真斗は思い切った。

「いい覚悟だね。そう言ってくれて嬉しいよ。」二人は朝のキスを交わした。

「真斗、愛している!結婚の返事は保留だけど、浮気しそうだよね、真斗は。その時は殺すよ。」茜ははっきりと返事をしなかったが、喜びを隠せなかった。

 

 幼馴染の恋は、成就するまでに長い期間を要した。二人の歩んできた過去を受け入れ、これからの未来を築いていく幸せを、茜と真斗は感じていた。

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初めての物語~First Story~ 秋夕紀 @Axas-0077

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