「永遠」を描くとは言い得て妙な物語でした。顔料にする際の科学的な説明になるほど(よくわかっていない)と唸り、ずっと足りていなかった色をどう手にするかという読者にもじわりじわりと方法を気付かせるような薄気味悪い展開も素晴らしいと思います。最善の選択どころか最悪の選択とも捉えかねない「永遠の描き方」でしたが、読後感はそれほど悪くなく、むしろ清々しくもありました。突き抜けた狂気と愛情の深さを美しさに昇華させて、「永遠」に加担しつつも、そちら側にまで行けなかった主人公の理系らしい人間臭さが切なかったです。良き……!
彼女的には少し、ううん、とても寂しかったのではないでしょうか?でも、何か残してあげられるなら残してあげたかったのでしょうね。
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