推しと彼氏は違うの! 3

「紬ちゃん! こっちこっち!」

そう言いながら、こっちに向かって目一杯手をぶんぶん振っているのは、湊くん。

「すいません。お待たせしました!」

「いえいえ、突然ごめんねー、かわいい紬ちゃんとごはん食べたくなっちゃって!」

/////

やっぱり、湊くんかっこよすぎっっ


湊くんと楽しくごはんを食べていると…

「ちょっと待ったぁーーー」

振り返ると、肩で息をした日向くんがいた。

「大林さん??」

「はっ、はっ、俺、湊くんが相手でも負けませんから。」

私と湊くんの頭にはクエスチョンマークが浮かぶ。

「えっ、日向何言ってんの?」

「何言ってんのって、湊くん、紬ちゃんのこと狙ってるって」

「はあ? なんか勘違いしてね?」

「えっ? だって、晴翔くんが…って晴翔くん?!」

「あぁ〜、イタズラ王子に騙されたなぁ〜」

「って、ことは、えっと…、あぁ〜まじ最悪。もぉ〜晴翔くんどうしてくれんの…」


「じゃあ、あとはおふたりで〜」そう言って湊くんは帰っていったが、私はさっきのことが気になって仕方ない。

「はぁ〜まじ最悪だわ〜」そう言って頭を抱える彼に声をかける。

「ねぇ、大林さん。」

彼は頭を上げて、真剣な私をみつめ、意を決したように深呼吸をして話はじめた。

「紬ちゃん、ごめんね。俺邪魔しちゃったよね。でもさ、俺、紬ちゃんのこと好きなんだ。だからさ、これから少しずつ、俺のことそういう風にみてくれないかな?」

………

「そうだよね、怒ってるよね。だって、せっかく湊くんとのデートだったのに、俺が台無しにしちゃって。本当ごめん。もう、俺となんて会いたくないよね。」

………

「えっ、泣くほど俺のことが憎い?? 本当ごめん。」

「ちがっ、違くて。…たしもすき。」

「えっ?」

「私も好きです。」

「えっ?! でっでも紬ちゃんって、湊くん推しでしょ?! だから…」

「湊くん推しなのは変わりません。でも、大林さんのことは、ひとりの人として好きなんです。太陽みたいな笑顔が素敵で、面白くって、私の相談に親身にのってくれて、何より夢中で仕事している大林さんのことが大好きなんです。」

「嘘だろ…」

「ホントです。推しと彼氏は違うんです!」



-ピコン

晴翔くんからLINEが届いた。

「あっ、両国さんからだ。」

「えっ! 晴翔くん?? なんて?」

-みんなで、日向んちでごはん食べたとき、日向機嫌悪かったじゃん? あれ、湊くんが先に下の名前で呼ばれるようになっちゃって、紬ちゃんのはじめて取られて怒ってたんだよ

「って、そうなの? 私てっきり、私に嫉妬してるのかと思ってた」

「うわっ! 腹黒王子そんなことまで… なんなんだよもー」

そうやって口を尖らしていると思い出したように

「で、紬ちゃんは俺のこと下の名前で呼んでくれるの?」

「えっ、今更、呼びづらいよ〜」

「うわー、俺彼氏なのに、ひどっ。やっぱり、湊くんのことが好きなんだー。」

「ちっ、違うよ!」

ん?という顔で催促してくる。

「んもーー! ひ、日向くん!」

「まあ、別のはじめてもらっちゃうもんね」

そういって、ニヤっと笑った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

#推しのいる生活 えりぶー @_haryrrm1121

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ