推しと彼氏は違うの! 2
指定された場所は超高層ビルの最上階にあるレストランだった。
「お待ちしておりました。」
そう言って、スタッフの方が日向くんの待つ席まで連れていってくれた。
「今日は来てくれてありがとう。」
ニコニコの笑顔でそう声をかけてくれる彼は、いつものテレビで見ているラフな格好とは打って変わって、スーツを着こなしていた。
「いえ、こちらこそありがとうございます。」
お料理はとっても美味しくて、日向くんはお喋り上手だからとっても楽しい時間を過ごすことができた。
夢のような時間もこれで終わり思っていると
「紬ちゃん、また誘ってもいい?」と聞かれた。
びっくりしたけど、頷くと
「よかった。」とニコニコの笑顔がこぼれた。
それから、特に連絡もなく、私は現実の世界で生きている。
やっぱり、あれで人生の運全部使っちゃったのかな〜なんて思っていると
ピコンとスマホがなる
日向くんからだ
-紬ちゃん! はじめまして! 黒川湊です!
!!! えっ?! ちょっ! 待って! 黒川湊って
っえぇーーー!
♪〜
「えっ? 今度は電話?」
「もっ、もしもし?」
「もしもし、紬ちゃん? 今大丈夫?」
「あっ、大林さん? はい大丈夫ですけど」
「えっ、なんか明らかに残念そうな声に変わってない?」
「そんなことないです。」
「いや、してるねー 湊くんからだと思ってちょっと声高くしてたでしょ〜 ってちょっとリーダーやめてくださいよ 「えっいいじゃん、変わってよー「ちょっやめ「もしもし? 紬ちゃん? はじめまして、あなたの推し黒川湊です」
「………」
「あっ! そうだ! 今度俺ともご飯行こうよ! ってか今からスタジオ遊びに来ない? メンバーも会いたいって言ってるし、って聞いてる? おーい紬ちゃーん!」
ちょ、ちょ、ちょっと待って、あの黒川湊が、いま、私と、電話、してる??
「もしもし、紬ちゃん? 大丈夫?」
「っあ、はいっ、なんとか」
「ごめんねー、うちのリーダーが勝手に俺のLINEでメッセージ送っちゃったんだよね」
「あっ、いえ、全然それは大丈夫です」
「あぁーていうかーむしろ嬉しかった感じ?」
「むぅーなんで、そんな意地悪言うんですか」
「わー、怒った怒った!」
「もう! いいです!」
「ごめんて。お詫びにまたご飯行こうよ」
「えっ?!」
「えっ?!ってあーやっぱ、リーダーの方がいいんだー。」
「ち、違くて」
「うそうそ、じゃあまた連絡するね。」
私は今なぜか、超高層マンションの前にいる。
えっ?! おうちでごはん?? だって、日向くんって料理しないんだよね?!
と無駄にオタク力を発揮しながら、日向くんに連絡をいれる。
「あっ、じゃあ中入ってきて!」
と言われ部屋の前でチャイムを鳴らす
はーいと言ってドアを開けたのは…
ちょ、ちょ、ちょ、NEXTの王子、晴翔くん?!
「こんにちは。両国晴翔です。」
ニコッと笑った笑顔が爽やか…
「はっ、はじめまして、きっ、木村紬です。」
ヤバい、ヤバすぎるってテンパっていると
「うわー、王子にまでデレデレして〜、俺ショックだなぁ〜」と言いながら、日向くんが現れる。
「っ!!!」
図星だった。そして、日向くんの登場に安心している自分がいる。
「そっ、そんなことないですぅー。あっ、お招きいただきありがとうございます。これ、お土産です。」
ありがとー、中入ってと言われて部屋に向かうと…
!!!
ちょ、ちょっと待って!!! メンバー勢ぞろいなんですけど?!
「おっ!! 今回の主役登場!」
「ども。」
「これが噂の日向のか〜」
「紬ちゃんかわえぇなぁ〜」
「まっ、俺の女なんだけどね〜」
「ちょ、湊くん、やめてくださいよ〜」
と各々自由に話しているが、私の頭の中は大パニック。フリーズしていると、
「びっくりしちゃったよね?」と王子こと晴翔くんが優しい笑顔を向けてくれる。
そ、それが余計にフリーズの原因になっちゃうんですけどーーー
そして、私は今、両隣から遊ばれている…
「ねぇねぇ、紬ちゃん今度俺とデートしてよーや」
「いやいや、理玖くんとデートなんてしたら、速攻食われちゃうでしよっ! それに紬ちゃんは俺のこと好きなんだもんねー、っていうか俺のこと"黒川さん"じゃなくて、湊って呼んでよー。いつもはそうやって呼んでるんでしょ??」
そう、私は7人のことを苗字にさん付けで呼んでいる。
もちろん、普通のときはそうではない。
「いや、でも…」
「ねっ? ねっ? お願い〜」
っっ、このイケメンがぁ〜
「み、湊くんっっ」
「はーい。」
「はいっ!はいっ! 俺も理玖って呼んで欲しいなー」
なんて、やりとりをしながらふと日向くんの方を見るとあっかんべーってされた。
むぅーーー!
キッチンに飲み物を取りに行くと、日向くんがいた。
何飲む?って聞く声がなんだか機嫌が悪そう。
「なんか、怒ってる?」
「いや、別に」
「やっぱり、お邪魔だったかな?」
「いや、そんなことない。むしろメンバーは喜んでるし、来てくれてよかった。でも…」
そういうと、顔が近づいてきて
「湊くんといちゃいちゃしてるのなんかムカつく。」と耳元でささやかれ、かぶっと甘噛みされた
/////
「俺を不機嫌にしたお返し」いつものニコニコ笑顔とは違う、いたずらっ子笑顔で彼はキッチンを出て行った。
そして、"もー日向は子どもだなー"と言いながら、晴翔くんがやってきた。
絶対見られてた!!!
逃げるようにキッチンを後にした。
その後もNEXTの7人と楽しい時間を過ごしてた帰り道。
なーんか夢のような時間だったなー
と今日のことを思い出す…
ーなんか、湊くんといちゃいちゃしてるのなんかムカつく
ぬぉーーー、なんなの日向くん??
いや、待てよ。湊くんと日向くんは同じ高校の先輩後輩でとっても仲良しだから、私と仲良くしてるのみて、嫉妬しちゃったのかな?
ふふっ。やっぱり、日向くんかわいい。
私も日向くんもお仕事は忙しかったけど、毎日LINEのやりとりは続いていて、休みの日なんかは電話したりもしていた。
そして私は、日向くんのことをファンとしてではなくひとりの男性として好きになっていた。
そんな日々が続いたある日。
スマホが鳴った。相手は…
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