第5話

「地上げ屋をピックアップして、三人目が誰なのか探ります」


「分かりました。車がもうすぐ来ますので、お待ちください」


「車?」


 うるさいクラクション。本当に、車が来た。


「R301。危険なし。運転席に女性1名」


 トラックのほうから声。


「よし」


 車が目の前に止まる。


「いえあ。よう兄ちゃんたち。私の腹に乗っていくかい?」


 地上げ屋。


「貞操の危機じゃねえのかよ」


「そんなん車で一発よ。やっぱ早いのはいいねえ」


「おまえ、何言っても下品だな」


 車に乗った。


「カードは渡してきた」


「そうか」


 あのカードは、囮。地上げ屋も、それを理解して逃げ回っていた。


「でさ、本当のカード今から取りに行くんでしょ。どこにあるの」


「お前の下着」


「うん」


「ポケットないから、下着のところに挟んだ」


「は?」


「動くなよ」


 地上げ屋の背中に手を突っ込む。


「くすぐってえぞ、おい」


「我慢しろ」


 あれ、ええと。ここらへんかな。


「それは私の贅肉です」


 違うか。


「それはブラの留め金です。おまえセクハラ野郎か?」


「あ、あったあった」


 背中から取り出した。カード。


「これだ。これがワイルドカード」


「わたし本物持って逃げ回ってたのね。こわっ」


 身震いしている運転席。たぶん、それにもちゃんと気付いて逃げていたのだろう。貞操の危機と言ったのは、裏を返せば身体検査されない限り無事ということでもある。


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ワイルドカード(一時間で書けるところまで) 春嵐 @aiot3110

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