第3話 モールへようこそ!
モールの前に着く。
すると前には私服姿の美波がいた。
「先輩ー!こっちですよー!」
「ごめん。待ったか?」
「ええ。そりゃもちろん。てか何でこんなに遅かったんですか!?」
「俺の隣の部屋で妹と幼馴染がヤッてた。
気まずいなんてもんじゃないぞ?」
あはは…。と苦笑いを決める美波。
「ま、まぁ。行きましょう!
あっ!思い出したんですけど勉強いいんですか?受験前でしょ?」
「日頃から暇だから結構やってるしな。
たまには良いかなと思った。」
「自虐ネタはやめてくださいよ…」
そんなに気まずそうにしなくても良いぞ?
「さて!気を取り直して!今日くらいは遊びましょー!」
「お、おー?」
「ノリが悪いですね!相変わらず!」
「しょうがないだろ…日頃からあまり喋ってないんだし。」
表情が固まる美波。
ごめん。自虐ネタだ。これ。
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俺達はモールの3階にある本屋まで来た。
「先輩はどんな漫画がご所望で?」
「読んでたやつの続刊だ。読む?」
「仮に行きたいのは山々なんですけどねー。
ヤッてんでしょ?隣で。」
ははは。と乾いた笑みを浮かべる美波。
ごめん。申し訳ない。
漫画のコーナーまで来た。
ここの本屋は結構色々な漫画が揃っている。
アニメ専門店が家の近くには無いのでここが行きつけとなっていた。
「本当にここいっぱいありますねー。
友達と来た時ビックリしました。」
「どれどれ。どこにあっかなー。おっ!
ってゲッ!1冊しかないじゃん。」
「ほぇー。結構人気なんですねー。
ちょっと私も学校で読む小説買ってくるのでここの漫画の所に居てくれませんか?」
「おお。分かった。じゃっ。また後でな。」
美波と別れて早速。その新刊へ詰め寄る。
良かった。残っていて。
俺は手を伸ばす。
すると横から同じく手を伸ばしてくる人がおり、手と手が触れる。
恋が始まっちゃったり?
「えっあ。ごめんなさい。いいわよ。買っても!他のを買うから。」
横を見るとコスプレ集団だった。
後ろには大きな狼男。恐らくそういう能力なのだろう。
でも。なんのキャラかは知らん。
だがこれは普段着ではない。絶対。
「えっ。マジすか。なら遠慮なく。」
「一日一善とも言うしね!良いことがある気がするわ!」
後ろの連中に流石リーダー!と囃し立てられているが。
「何。アイツら。」
変な人達だ。
俺はああゆう人には近づかないようにしよ。
「むむむっ!聞き捨てならない事を聞いたわね!私達はそう!悪n」
「リーダー!やめてください!」
しっかりしてそうな金髪のポニーテールの美女がリーダーとやらを宥める。
「本当に失礼しました…」
申し訳なさそうに謝る女の人。
貴方は聖母ですか???
「あっ。いえ。俺も思わず口に出してしまったのがいけないんですし。」
「そうですか。では。またどこかで。」
聖母がリーダーとやらを引きずって去っていく。
あの女の人には好感が持てるな。
優しそうだったし。でも苦労人そう。
リーダーとやらがアホっぽいし。
ご愁傷さまです。
「先輩ー!終わりましたよー!早くお会計に行きましょうよー!」
居たわ。うちにも。
_____________________
本屋の外に出た俺達は悩んでいた。
「「次何しよう。」」
そもそも。俺は本を買うためだけに来たので、
本を買った今。ここに居る用事はない。
「そうですねー。適当にゲーセンでも行きましょうか?」
「いいぜ。金ならある。ここ1年お前以外と遊んでないしな。なんなら奢るか?」
「辞めましょう!?自虐ネタは!」
「じゃあ行きまs」
ドゴォン!爆発音が鳴り響く。
恐らく。強盗かなにかだろう。
音をした方を見ると両手を炎に包んだ男が暴れていた。
「ヒーローは?居ないんですか!?」
「居ない、みたいだな。
よし。逃げよう。」
「言いたいことは沢山ありますが!
先輩も私もあまり攻撃向きの能力と魔術じゃないですしね。逃げますか?」
うん。激しく同意。
すると。男がこちらに目を付け、寄ってくる。
((マジか!?))
「おっ。いい女発見。そうだな。さらって帰るか。よし。こっち来いよ。」
「い、嫌に決まってるでしょ!?何言ってんのアンタ!」
「まぁ。そう言うよな。大丈夫。力で分からせっから。」
ドゴォン!と手の炎を爆発させその爆風に乗り、こちらに向かってくる男。
うぇぇぇぇ!?
「エアーシールド!
さぁ。先輩!今のうちにやっちゃってください!今なら正当防衛ですって先輩の能力ゴミカスじゃないですかぁ!?」
空気の壁に狭まれ、男が弾かれる。
炎の両手で殴ってくるがこちらに届きはしない。
「うるせえ!黙れ!こん時くらいやめろよ!
ほら!この男俺に大した能力ないって知って、
ニタァってにやけ始めてるぞ!」
「やっちゃってください!先輩!その強強能力で!」
「言うの遅せぇよ!」
何とも緊張感のない会話だろうか。
周囲の人は
(((何で、今夫婦漫才!?)))
と心の中で叫んでいる。
一方その頃俺は。
お願いしますぅ!俺に真の力を!叶えてくれたら全裸で家を走り回るからァ!
とこのように懇願しております。
さぁ。行けるぞ!行ける気がしてきた!
(自己洗脳)
あっ。水ないじゃん( ^ω^ )
「ごめんなさい。犯罪者さん?あの、水を買ってきていいですかね?」
「いい訳ないだろ!?」
ですよねー。ご回答あざます。
もう一度近くをよく見る。
近くにはゲーセンの入口にあるクレーンゲーム
、そしてエレベーター。人。そして。トイレだ。
そうか。トイレだ!
でも、俺は目に見えない範囲だと操る事の難易度が数倍に上がる。
「頑張ってみるだけやってみるか。」
「早くして下さいね!?そろそろきついです!」
おう。分かったよ。
俺は頭の中でトイレの構造を想像する。
俺は目に見えない所は想像して操るしかない。
蛇口は…ダメじゃん。
開けっ放しにしてる奴なんて居ないというか自動じゃないですか。
なら。小便器の水か?色々混じってる?
後は大便器?
まぁ。いい。今はそうするしかない。
俺はその水を全て水滴にする様イメージし、
こちらに引っ張る。
するとトイレの方から物凄い数の濁った水が。
「えっ。先輩。もしかしてあれトイレのm」
「美波。世の中には知らない方が良いことってあるんだぜ?」
どんどん犯罪者の口が歪に歪む。
「お、おい。まさかそれ俺に当てるつもりじゃ。」
「どのくらい蒸発できますかね?」
満面の笑みで俺は言う。
男の汗が一気に引っ込む。
「うわぁぁぁぁ!?」
男は爆風を使って走り出す。
自慢じゃないが。水滴なら新幹線くらいの速度なら操れるのだ。
男にじわじわ詰め寄れるように調整しつつ男を追う。
「せ、先輩?や、やめてあげた方が、」
「まぁ。そうだな。どっかいったし。
あっ。当たっちゃった。」
うわぁぁぁぁ!目がァァァ!という男の声がモール内に響き渡る。
「やべ。やっちゃった。」
すると美波は引きつった顔で
「せ、先輩…引きます。」
やめて!そんな目で見ないで!
「嫌いにならないでくれると嬉しい。」
すると美波は頬をポリポリとかいた。
気のせいかな。顔が少し赤らんでいる。
「いや。嫌いにはならないですけど。」
本当に優しい後輩を持って俺。嬉しい。
「どうするんです?あれ。」
美波が指を指す。
その刺した方向には小便やら何やらがぶっかけられた男の姿。周りは当然汚れている。
「ま、まぁ?せ、正当防衛だろ?」
これからの見えない展開に気分を下げる俺だった。
悪の組織へようこそ! Write @Hayaww
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