..

 あの日から何度目だろう、こんなにも騒がしく学校へ登校できるのは…


 僕が誰よりも普通を望んでいたことを知っている母さんは、何度も何度もよその家の朝のように僕を見送ってくれる。


ごめんね、母さん。



 歩き慣れた道には、綺麗なピンクに染まっていて、まるでレッドカーペットを歩いているよな気分になった。


「あー、今日から受験生か…」


 僕は生まれた頃、高校生まで生きることは難しいと言われていた。


 それを小学生の頃に知ってしまい、何度泣いただろうか。


 男子校生なんて、女の子がJKに憧れるのと同じように、男の憧れだ。


多分…(笑)


 その憧れがもう少しで終わろうとしている。


 あの日からは、とりあえず憧れの男子校生になり、ただ普通に生きていくことが目標だったから、そのあとのことなんて考えていなかった。


 なにを目指し、どこへいくのか決まっていないのに受験生だなんて。


「したいことなんてないのに…」



と、呟いた瞬間ふと思い出した。

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あとは掴むだけなのに 浅葱ヒカリ @asagihikari

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