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 AM7:00、昭和の匂いが漂いそうな時計がジリジリと僕を焦らせ、ベッドから追い出そうとする。今日もまたやってきた。

 

 僕の欲しかった男子高生の日常が。


「ゆき!早く降りてきなさい!ご飯が…」


と、母さんが今にも部屋に乗り込んで来そうな勢いで僕を呼んでいる。


 小学生の頃の僕や母さんからすれば、こんなことはきっと想像していなかっただろう。


昔の母さんなら…


「ゆき、起きて。まだもう少し寝とく?」


と、どんな些細なことでも心臓に響いてはいけないと恐れて、いつまで経っても赤ん坊に話しかけるように僕を起こしていた。


 もちろんそれだけではない。


 数え切れないぐらいほど、母さんだけではなく、父さんも、学校の先生も…みんな僕の心臓を刺激しないようにしていた。


 そんな優しい声よりも、僕は今の刺激的な、うるさいぐらいの声のほうが心地よく、何度だって嬉しい。


やば、そんな嬉しいとか感じてる暇はない!


 バタバタと音を立ててベッドから降り、みんなと同じ制服に着替え、ちょっと髪型をセットさせ、ドタドタと階段を駆け下りてリビングへ。


「やっと降りてきた!早く食べちゃって。」


「別に寝坊してないんだから、もう少しゆっくりさせてくれたって…」


「またすぐそうやって…!」


 毎朝毎朝こんな会話をループさせ、母さんの小言をご飯に添えながら朝食をパパッと済ませ、支度を済ませる。


さあ、今日は何分で準備完了かな?


「もう!時計を見てる割にギリギリじゃない!今日から3年生なんだから、早いとこ行くのよ」


「今から出るところだって、いってきまーす。」


「一言多いのよ!行ってらっしゃい。」


 

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