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僕は小さい頃から心臓が弱く、小学校には思い出せるぐらいしか通っていない。
中学校には、やっと1ヶ月通えたと思っても、また次の月は入院、退院できたと思っても、結局は入院の繰り返しだった。
だけど、ある日突然僕にもみんなと同じ日常がやって来た。
かわりに僕の心には、人には見せたくない十字架が入ったけど、みんなと同じものを得た代償としては安いものだった。
これでやっと、普通になれる。
普通が僕にとっての幸せになると夢見ていたから。
でも、結局普通なんてこの世にはないのかもしれない。
みんな似てるだけで、全く一緒なのなんて双子が赤ちゃんの時ぐらいだろうな。
似ているものが多ければ多いほど、それがみんなの基準になるから普通になり、例えいいものを持っていようと違うことに劣等感を感じるから普通を欲しがり、羨んで妬む。
僕はそうはなりたくない。なりたくないのに、結局はそうなり、普通を手に入れたと思ってもまだ足りない気がしてまた妬む。
そんな僕を彼女はきっと変えてくれようと手を差し伸べてくれたのかもしれない、掴めない手を。
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