北海道、チャリ、男同士、青春。すべてが揃ってはじめて、この物語が味わいがでてるんだと思います。お互いの名前の紹介に、ふたりの関係が醸し出される若い頃の一コマ。中年になっての一方の死。それは、残されたものに悲しみ以上のものを残して、その思い出とともにチャリの旅にでる主人公の姿が淡々として、なぜかかっこいい。とても良い作品です。ぜひ一読を。
死別した大事な相手から届く1通の手紙共通のプロットで書く企画の参加作です。こちらの作品は主人公たちが老境に入った二人ということ。長ければいいってものじゃないですけど、それだけ積み重ねてきた時間が喪失感を大きくすることは容易に想像できます。作者様の経験をもとに書かれているせいか、描写がぴたっとはまっています。友人の死を乗り越えようとする主人公が自分にかける「進め」2文字のみの心象描写。しびれます。