現代病床雨月物語 第四十話 「生戦(せいせん)その九 世界を一変させた新型コロナウイルスには負けられない」

秋山 雪舟

「世界を一変させた新型コロナウイルスには負けられない」

 今まで世界がこんなにも同時進行的にウイルスに苦しんでいる人類を見たことがありません。今もゴールの見えない状況の中で月日だけが進んでいる様に思います。WHOの指導力のなさや各国政府の対策のバラツキは、何のために第二次世界大戦後に国際連合を創設したのか首を傾げる所であります。そんな中、私は二か国の対応が突出していると感じています。歴史的・地政学的な要因があると思います。それはベトナムと台湾です。ベトナムは千年以上に及ぶ中国からの弾圧に負けずアメリカにも屈しなかった国です。また台湾も中国の嫌がらせに屈せず頑張っています。この二か国に共通しているのは中国政府の情報や発言を鵜呑みにしない姿勢と科学的な検証が対策を早期に出来た理由だと思います。初期の段階で日本人の意識は海に囲まれているのでベトナムと台湾より危機意識が足りませんでした。その日本でも大都市でありながら歴史的・人的に中国と関係が古い大阪が東京より対策が進んでいるのも何か関係があると思います。

 ギリシャ神話で語られるパンドラはゼウスが人間を罰するために泥から作らせ地上に送り出した人類最初の女性であります。送り出すときゼウスはあらゆる悪と災いを封じ込めてパンドラに持たせた箱がパンドラの箱です。神話では希望だけが残ったと言われます。私は疑問に思っています。もしそれが本当ならば希望が災いの一つになるからです。人間からすると希望は災いではないからです。これは何か深い謎があるとしか考えられません。永遠の謎です。ここで私はやはりパンドラの箱には何も残らなかったと思っています。しかしゼウスがこれほどまでに当時の人間を嫌っているとは思っていなかった人間たちは希望が残っていたと噓を伝える様になったと思います。

 今の新型コロナウイルスによるパンデミックについてはギリシャ神話の時代よりも状況は明るいと確信しています。ウイルスに対する経験値と科学力があり未来への希望が描けるからです。これから一番大切なのは各地域・各政府・そして国際的な指導者たちの決断力と熱意だと思います。

 感染を防ぐ防御方法はあるのです。愚直に行い時間を創り出してワクチンの開発に漕ぎ着けるまで頑張るしかないのです。これまでもマスクやフェイスガードなどを進化させ除菌方法も深化しています。「継続は力なり」を信じて進むことです。

 話が少しそれますがウイルスで私は二つの事が頭に浮かんでくるのです。一つはイギリス十九世紀の作家、G・H・ウェイルズの「宇宙戦争」です。火星人たちが地球に侵略にきます。人類の科学技術や最先端の武器は何の役にも立たず簡単に敗北してしまうのです。しかしその後、火星人たちは死に絶えます。火星人たちは地球の病原菌に対する免疫がなく地球で呼吸し、飲食をしたときから死にゆく運命だったのです。

 もう一つは、ゾンビを生み出したハイチの原住民の話です。大航海時代に西洋人や西洋人が奴隷として黒人を入植させたため免疫を持たない原住民が全滅したと言われています。その原住民の宗教や儀式が伝えられて変化してゾンビ伝説になったと言われています。滅ぼされた原住民の無念の魂がゾンビ伝説を生み出したのです。その後ハイチは、一八〇四年、世界で最初の黒人共和国を誕生させました。今も人口の90%が黒人であり。80%がカトリック教徒です。今アメリカから世界に拡散している黒人への人種差別反対運動の広がりも何か不思議な関係がある様に思ってしまうのです。

 話は戻りますが私が自宅療養をしていた時期(二〇二〇年七月上旬)は、第二波の新型コロナ感染者が増えていました。七月下旬には第一波よりも一日の感染者数が多くなってしまいました。これは各国政府が医療関係者の助言より経済関係者の意見や現状を忖度した結果であり人災の側面もあります。今必要な事はそれぞれの国・政党・組織等の立場やその大小に関係なく新型コロナ感染症対策に成功している手法を取り入れる。またそれに改良を加えることです。生きて健康であるならば経済は破綻しないと一人一人が信じる雰囲気を創り出すことです。そうなれば新型コロナ対策基金等の経済対策が能動的に動き出すのです。

 私の独善的な考えでは、「コロナ君いつまでも人類に対するビギナーズ・ラックは続かないよ」と言いたい。長い目で見れば一人一人の体内には多くの菌やウイルスが存在して人間が宿主として人体共和国を形成しています。ですから一つのウイルスでしかない新型コロナウイルスに滅ぼされることはありません。人体共和国を形成している他の菌やウイルスが黙っているはずはないからです。ひょっとすると免疫力低下による私の水疱瘡ウイルスの活性化による帯状疱疹は、新型コロナウイルスに対抗するために人体共和国から代表として使命を受けて私を鍛えるために登場したのかもしれません。

 なお私の七月の自宅療養中の血液内科の受診結果は、CRPが0.44で白血球数が1970、血小板数が37万でした。また帯状疱疹ウイルスの活動は低下し抑制に成功しました。これにより自宅療養は解除になりました。

 これから私は帯状疱疹ウイルスに鍛えられ新しい変化した人体で新型コロナウイルスとの生戦(せいせん)を続けていきます。負ける気はさらさらありません。皆さんも自信を持って新型コロナ感染症対策を進めていきましょう。継続は他者への思いやりであり「継続は力なり」です。


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