第15話 真一と長島…初めての旅行②『大阪』
京の華温泉をあとにした真一と長島は、真一が運転する車で一番大阪へ向かった。
長島「しんちゃん、体調大丈夫か?」
真一「うん、今のところは大丈夫や」
長島「無理やったら、途中で引き返していいからね」
真一「わかった。ありがとう」
長島「せっかく体調が復調してるところで無理したらアカンよ。また仕事休まなアカンようになったら、大変やでなぁ…」
真一「そうやなぁ…」
長島「しんちゃん、もうしんちゃんだけの体やないんやからね…」
真一「え?」
長島「私が居るんやで…しんちゃん」
真一「ありがとう。わかった…」
真一は長島の言葉が嬉しかった。
京の華温泉から途中高速道路を利用しながら車を走らせること1時間、大阪に到着した。
真一は長島のリクエスト通りに街をブラブラ歩きながら、途中で昼食をとって、お目当ての店に向かう。
途中、真一が場外馬券場で競馬の馬券を買って1レースだけ遊んだ。結果は、賭けた分だけほぼもと返し状態、いわゆる『トントン』だった。真一も長島もこれには笑うしかなかった。
真一「時間潰しにはなったなぁ」
長島「ホンマや(笑)」
場外馬券場を離れ、真一と長島は喫茶店に入る。2人はコーヒーを注文した。
真一「今夜はどうする? 大阪で泊まる?」
長島「しんちゃんはどうしたい? 疲れてるんやないの?」
真一「大丈夫や。今日はどうするか、全くもってぶっつけ本番、行き当たりばったりで動いてるから、ホテルも予約してないよ。大阪やから、京都に戻ることもできるけど…。りっちゃんのマンションに戻るか?」
長島「大阪でどこか泊まれるところないかなぁ…。昨日の京の華温泉みたいに…(笑)」
真一「そんなうまい話、2日連続であるか?(笑)」
真一は携帯電話でビジネスホテルやラグジュアリーホテルで空き状況を確認するが、3連休の中日ともあって、満室だった。すると、長島が真一に提案する。
長島「しんちゃん、それやったら、ラブホ(ラブホテル)へ行かへん(行かない)?」
真一「空いてるか?」
長島「予約なんかいらんやん。宿泊時間から行って部屋が空いてたら泊まれるやん」
真一「そうか…」
長島「それまでは晩ごはん食べに行っておいて、部屋で飲む分をコンビニとかで調達しといたら…?」
真一「そうするか?」
長島「しんちゃんとなら、ラブホ行ってもいいよ。一番大事な人と行くんやから(笑)」
真一「…わかった」
喫茶店を後にした真一と長島は、電車に乗り水族館へ向かう。
まもなく日没になろうとしている。海沿いにある水族館に入る前に夕焼けを見る真一と長島だった。
長島「絵になるなぁ」
真一「そうやな…」
長島「今回の旅行、ええわぁ(良いわ)。綺麗な夕日も絵になるし」
真一「うん。よかったなぁ」
長島「ありがとう、しんちゃん(笑)」
真一「うん」
長島「水族館行こか」
2人は水族館を楽しんだ。そして2人はレストランで夕食をとり、ケーキも食べた。
コンビニ(コンビニエンスストア)で飲み物や少しおやつを買って、ホテルへ向かう。
幸い、空き部屋があり入室する。
長島「しんちゃん」
真一「何?」
長島が真一に抱きついた。
真一「どうしたん?」
長島「今日もありがとう」
真一「え…うん…」
真一も長島の背中に手をまわした。
長島「ラブホは初めて来た?」
真一「初めて…ではない」
長島「あ、元カノ(夏美)と…か(笑)。幼なじみ(優香)とは行きたくなかったの?」
真一「幼なじみは、あくまで幼なじみや。付き合ってたらわからんけど…」
長島「でも私とこうやって来てたら、幼なじみと来てるような感じにならんの? 私そっくりやから…(笑)」
真一「だから、幼なじみ≠りっちゃんではないから。りっちゃんはりっちゃんや。オレは幼なじみ(優香)と付き合っているのでない。りっちゃんとやろ?」
長島「しんちゃん、大好き。私、益々しんちゃんが好きになった」
その後2人は風呂に入り、ベッドで今まで以上に激しい2人だけの時間を過ごした。
翌朝、遅い起床となり、チェックアウトをして喫茶店で朝食をとった。
その後、大阪の街を散策する2人が手を繋いで街を歩きながら話す。
長島「しんちゃん、疲れてない?」
真一「ん? りっちゃんがいるから大丈夫や」
長島「私がいたら大丈夫なん?」
真一「アカンのか?」
長島「アカンことない。いいよ(笑) でも無理だけはせんといてな(しないでね)」
真一「わかった」
長島「しんちゃん、今回の旅行、めっちゃ楽しかったし、めっちゃ嬉しかった」
真一「そうか。でも急にどうしたん?」
長島「あのな、前にも言うたけど、しんちゃんから私としんちゃんの幼なじみ(優香)が『うりふたつ』や…って聞いて、(優香の)写真を見せてくれた時、高校の体育祭の写真がシュチュエーションも立ち位置も仕草も全く同じでビックリしたやんか」
真一「そうやな」
長島「しんちゃんは幼なじみ(優香)が基本になってると思うし、それに私、しんちゃんと話してて元カレとは勿論全然違うし、しんちゃん真面目やし、しんちゃんとなら真面目に恋愛できるかと思ったし、私がしんちゃんに惹かれていったんや」
真一「そうか…」
長島「だからもう『同期の同い年』だけではないと思ったし、ずっと大切な人に抱かれたいし、一緒にいたいなぁ…って思うようになったんや。だから、しんちゃんが『幼なじみ(優香)≠私』ではないって言うてくれた時も嬉しかった。ただの『そっくりさん』ではないって…。抱いてくれたときもめっちゃ嬉しかった(笑) ただ興味本位で○○チしてるわけやないから…」
真一「わかってるで。オレもりっちゃんがオレのこと、考えてくれたのは嬉しかった。でも、ちょっと○○チしすぎではないの?」
長島「私の中では大丈夫やで。そんだけしんちゃんのことを想ってるんやで。ずっとこうしていたいし(笑)」
真一「あ、そう…」
長島「引く?」
真一「ううん。『体だけ』っていうのではない…ってことがわかったから…」
長島「ひょっとして、元カノと別れた原因が『体だけ』ってなったから、トラウマになってるの?」
真一「ううん、りっちゃんの気持ちが聞きたかっただけやから…」
長島「安心して。私を誰やと思ってんの? 幼なじみ(優香)にそっくり顔のりっちゃんやで(笑)」
真一「あんまり説得力ないなぁ…(笑)」
2人はお互いの顔を見て笑っていた。
そして2人は、大阪をあとにして、京都の長島のマンションに戻った。
長島「しんちゃん、少しあがっていって。少し体を休めて…。車の運転、疲れたやろ?」
真一「かまへんの(いいの)?」
長島「もう一夜を4回共にしてるんやから、かまへんやん(笑)」
真一「じゃあ、おじゃまします」
2人はマンションに入る。
長島「めっちゃ楽しかったで」
真一「そうかぁ、よかった」
長島「ホンマにありがとう、しんちゃん」
真一「いえいえ、こちらこそお疲れ様でした」
長島「大好き❗」
長島が真一にキスをする。そのまま、熱いキスが続いた。
真一は、長島と出かけた旅行で、優香と夏美のように、長島もまた自分のことを想ってくれていることを実感していた。そして、長島は夏美とは違い『体だけの付き合い』ではないこともわかった。そして、真一は長島に伝えた。
真一「りっちゃん」
長島「何?」
真一「正式にオレと付き合ってもらえませんか? りっちゃんのこと、大好きになりました」
長島「ホンマ? ありがとう。じゃあ、こちらこそよろしくお願いします(笑)」
真一「ありがとう」
長島「ホンマに最高の旅行やったわ」
真一「そうか」
長島「うん(笑)。」
長島「じゃあ、しんちゃんが帰る前に…」
真一「ん?」
長島は真一をベッドに案内し、真一から長島と体を重ねたのだった。
真一「何回するの?」
長島「出来るときに何度でも(笑)。でも私はしんちゃんとずっと一緒にいたいだけやから…」
真一「うん。また出かけよか?」
長島「お小遣い貯めよな。今度は遠出して温泉行けたらいいね」
真一「そうやな」
長島「またしんちゃんと旅行したいなぁ」
真一「うん。今度は何処に行きたい?」
長島「しんちゃんは?」
真一「飛騨(岐阜県)とか九州とか、あとは東北に北海道かな…」
長島「いっぱい行きたいとこがあるんやなぁ」
真一「うん」
長島「だから今まで『旅』が『彼女』やったんや」
真一「そうやな。けど今はりっちゃんがオレの彼女やからなぁ…」
長島「うん(笑)」
長島は真一にこれでもか…というくらいにキスをして、愛を深めていった。
こうして真一と長島は正式に交際することになった。
それから翌週の月曜日、真一と長島は何事もなかったかのように、それぞれ自分のデスクで仕事に励んでいた。
休日、時間を見つけては真一と長島は会ってデートを重ね、愛を深めていった。
(完)
幼なじみ・番外編~不器用な男と器用な女のそっくりさん~ まいど茂 @shinchan17
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