今日の豆知識です、みなさん覚えておきましょう。
というわけで、冒頭の描写もけして明日あなた自身の身にも起こり得ないことではありません。
通常の宅急便等では取り扱ってくれませんが、日本郵便は故人の遺骨でもしっかりご遺族に(あるいは他のだれかに)送り届けてくれます。
閑話休題
「散骨」という言葉から、ビルの屋上なんかからぶわっとばら撒きでもするのかな、とわたしなどは思ってしまったのですが、妹の遺骨の欠片をすこしづつ、山手線の沿線のいくつかの箇所に埋葬していく、「巡礼」の物語です。
筆致は抑制されており、不仲だった父母との関係や、亡き妹との思い出なども具体的に描写されることはなく、それが乾いたリリシズムを生んでいます。
遺骨をすべて埋め終わった後に主人公がする、どこかおかしみのある空想も、もう、こんなの笑うしかないよね、という感情のリアリティがあり、それが最後の一言に深く効いてきます。
面白かったです。