第8話 願いを知らぬ鳥のうた

 とりはとりでもいつも寂しがってるとりは?

 ひとり?ひとりは寂しくない、とも言い切れないけどいつも寂しいとは限らない。なんて早織ちゃんのなぞなぞの本にツッコミをいれる。


 姉貴は料理が下手だ、正直僕の方がうまい。焦げたにおいがしたから慌ててキッチンへ。揚がりすぎた唐揚げがいた。



「姉ちゃん、火傷してない?」


「大丈夫!あたし一生料理うまくならないのかな」


「いや簡単なの作ろうよ、難易度高いって」


「うん」



 残りは僕が揚げた。鶏肉は美味しくてやわらかくて好きだ。お母さんの唐揚げを思い出した。結局僕らはきょうだいして墓参りに帰った。両親は何かあったらいつでも頼りなさいと言う。結局強制的に泊まることになったけど、この前来たときよりか気持ちが楽だった。それでもいつものように眠れないでいると父が起きてきた。最近早く目が覚めると実家の猫を抱いていた。あれだけ眠そうな猫もぱっちり起きている。父に何か言われると思ったがなんにも言われない。姉貴は母に料理を教えてもらった様子だった。


 姉貴の家に帰る前にあたりを散歩。新しいお家の子がちょうど4人、虫取りをしていた。楽しそうだ。あの頃を懐かしみながら、このまま変われないかもしれない。帰り際母に、



「急に変わっていかないでね、会わないと心配で。暑いから体に気をつけて」


「そっちも体に気をつけて、また来てもいい?」


「当たり前じゃないの」



 青空を飛んで

 弱いけど唐揚げにはならない

 鳥になる

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願いをさえずる鳥のうた 新吉 @bottiti

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