Young@Heart
@HasumiChouji
Young@Heart
「自分についてのイメージ」は……40になっても50になっても、20か30の頃のままだ……。そんな話を聞いた事が有る。頭では60か70になってる事を判っているのに、感覚としてはよく判らないまま……ある日、町を歩いていると「40年ぐらい前の20〜30代」みたいな格好をした老人がビルの窓ガラスに写っているのを見て……そして、それが自分だと気付いて愕然とする事になるのだ。
俺は……自分に、そんな日が来るのでは無いのか? と恐れ続けている。
「あとさぁ……10月からは遊ぶ金は俺の給料をアテにしないでくれる?」
「おい、家族なのに冷たくない?」
「10月から課長になるの。で、ウチの会社は管理職には残業代は出ないの。だから、今までより給料が減っちまうの」
「え〜、お前みたいのなのが、その齢で課長になれるの?」
「会社の同期の中では、これでも遅い方だよ」
「そんなモノかね?」
「あと、ちゃんと例の伝染病に罹った事、理解してる?」
「何、言ってるの? マスゴミの言ってる事を鵜呑みにするんじゃね〜よ。あの病気、年寄しか重症化しないんだろ」
この馬鹿は、前からこんな感じだった。しかし……こいつが情報を得てるサイトは……10年以上前から廃れ始めてる所ばかりだ。
「父さん……年寄しか重症化しないから、父さんにとっては大問題なんだよ」
「えっ?」
恐しい事に老人ボケではない。俺も俺の家族も……「自分の実年齢を理性では判っているが、感覚としては理解していない」としか思えない馬鹿な親父に悩まされ続けてきたのだ。
「父さん、今、何歳だっけ?」
「73だけど」
「年寄しか重症化しない病気に70代の老人が罹ったら、どうなると思う?」
「え〜、でも、ネットだと『あの病気って、老人だけの問題だろwwww』と言ってるヤツばかりだろ。お前もマスゴミの言ってる事を鵜呑みにせずに、ネット上の情報をだな……」
俺は、ずっと「理性では自分の年齢を判っているが、感覚としては自分の実年齢を理解していないまま、老人ボケをしてる訳でも無いのに、ちぐはぐな言動をしてしまう」ような年寄になる事を恐れ続けていた。
何故ならば、この親父の子供なのだから。
Young@Heart @HasumiChouji
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます